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食用油等のグリシドール脂肪酸エステルの含有実態調査結果について

 

平成22年5月18日

食品安全部基準審査課

1.経 緯

高濃度にジアシルグリセロール(DAG)を含む食品(花王(株)「健康エコナクッキングオイル」等)については、発がんプロモーション作用についての懸念から、平成17年以降、食品安全委員会において食品健康影響評価が継続されている。

昨年7月、高濃度にDAGを含む油(DAG油)の製造過程において、意図せず不純物として、一般の食用油(植物油をいう。以下同じ。)に比べ、高濃度のグリシドール脂肪酸エステルが生成することが判明し、当該物質は発がん物質であるグリシドールの関連物質であることから、食品安全委員会において、DAGと併せて評価を行うこととされた。このため、昨年8月、食品安全委員会より食品健康影響評価に係る補足資料として、以下を提出するよう依頼があった。

・食用油等に含まれるグリシドール脂肪酸エステルの分析法を検討すること

・グリシドール脂肪酸エステルについて、DAG油以外の食用油等の含有量の実態調査を行い、グリシドール脂肪酸エステルの高い含有がDAG油に特有なものか否か考察すること

これを受け、国立医薬品食品衛生研究所食品部において、食用油等のグリシドール脂肪酸エステル含有実態調査を実施した。

2.調査概要

・調査対象食品

DAG油については市販品を入手し、その他の食用油については(社)日本植物油協会、マーガリン及びファットスプレッドについては日本マーガリン工業会、乳幼児用調製粉乳については(社)日本乳業協会より入手した(各2製品3ロット)。

・分析対象物質

食用油中の含量割合の高い脂肪酸上位3種(パルミチン酸、オレイン酸、リノール酸)の各グリシドール脂肪酸エステルとした。

・分析方法

常温下で液状の食用油を対象として妥当性確認した抽出法により得られ

資 料 3

– 2 –

た試料をLC/MSにより分析した(定量限界5ppm)。常温下で固形のマーガリン及びファットスプレッドについては日本農林規格、乳幼児用調製粉乳については食品衛生法に記載されている油脂含有率に係る規格試験法により油脂を抽出し、以降の操作は食用油の分析法に従った(別紙1参照)。

・分析結果

DAG油については、すべての製品からその他の食品に比較して高濃度のグリシドール脂肪酸エステル(3種の脂肪酸エステルの合計値166~286 ppm)が検出された。その他の食用油については、こめ油から定量限界をわずかに上回る検出が確認されたが(3種の脂肪酸エステルの合計値10.3~16.1ppm)、マーガリン、ファットスプレッド及び乳幼児用調製粉乳については、すべて定量限界未満であった(別紙2参照)。

4.結 論

食用油等に含まれるグリシドール脂肪酸エステルの分析法を検討し、これにより分析を行ったところ、DAG油のみにその他の食用油等に比べ、高濃度のグリシドール脂肪酸エステルの含有が認められた。

http://www.mhlw.go.jp/shingi/2010/05/dl/s0518-10f.pdf

 

2010年05月26日 21:06