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リンゴ輸出用のEPS箱を開発

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東北資材工業(岩手県花巻市)は、リンゴを輸出する際に問題となる炭酸ガスによる果肉の褐変障害を抑制する発泡スチロール(EPS)容器「PaffBox(パフボックス)を開発した。成形段階でボックスの本体と蓋に複数の微細な通気孔を設け、リンゴ自らが生成する炭酸ガスが容器内に充満するのを防ぐ構造とした。東北地方は9月からリンゴの収穫期を迎えているが、今期の輸出用容器として相当量が採用される公算は大きい。

リンゴは、収穫後も自らが生成する炭酸ガスによって呼吸が早まり、成熟・老化が進んで鮮度低下を起こす。特に密閉され、温度が高い状態では呼吸量が増え、同作用が進むことが確認されている。このため長期輸送を要する輸出品では、この炭酸ガス障害による果肉の褐変や品質劣化が多数見られ、商品価値の低下を招く大きな問題とされてきた。

リンゴの輸出容器では現在、蓋と本体からなる2ピース構成のEPSボックスが広く使われているが、無孔で密閉構造のものが多い。また通気孔を設けたボックスはあるものの、ほとんどは孔径が大きく、外部からの虫の侵入を防ぐために不織布製などの通気シールを貼る必要があった。

今回開発されたパフボックスは、蓋(天面)と本体(底面)それぞれに微細な通気孔が数百個設けられており、これらにより容器内の炭酸ガスの充満を抑制する。通気孔は金型により本体・蓋と一体で成形される(特許申請中)。開発は、リンゴの輸出などを手掛けるトキミツ(岩手県盛岡市)の邱文政社長の発案により同社と共同で行い、このほど完成にこぎつけた。

通気孔は一つが直径1・6㍉以下の小さいもので、虫が内部に侵入することがないため通気シールを張る工程がいらない。積み重ねても天面、底面の通気孔がふさがらないような形状となっており、取り扱いは通常のEPSケースと同じ。封緘や梱包などの作業工程も同様に行える。サイズは10㌔㌘用で、厚み別に本体2種類、蓋4種類。

東北地方の中でも青森県は国内一のリンゴの産地で、特に「ふじ」は高級品として台湾向けなどに多く輸出されている。昨年の輸出実績で同県産は約160万ケース(全国で約220万ケース)に上る。また、一般選果場の業者間で早くもパフボックスの特徴や機能に注目が集まっており、問い合わせも多いことから、今期から相当量の使用が見込まれている。

なお同社では、リンゴの輸出用ボックスとしてだけでなく、その他の青果物容器としても用途展開を検討していく考え。

2009年09月24日 10:44