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コスメ最新トレンド・消費者意識を語る

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美容情報サイト 「@cosme」 を運営するアイスタイルの山田メユミ@cosme主宰は、 先ごろ開かれた日本産業皮膚衛生協会 「夏期セミナー」 において、 「最新トレンド・消費者意識」 についての特別講演を行った。 

インターネットの普及とともに成長してきた 「@cosme」 は、 会員数125万人、 クチコミ累積件数710万件、 登録商品数16万8000件を有する国内最大級の美容情報サイトへと、 この10年で大きく飛躍した。 会員の99%が女性で、 美的好奇心の高い20~30代が多く、 関東圏のユーザーが全体の約半数を占める。 

山田氏はまず、 日常的なネット利用者が8割を超えたことにより、 「生活者側の情報発信力がメーカーやメディアと同等のパワーを持つようになり、 もはや 『消費者』 という呼称は適切ではなく、 商品を生み出す意味で 『プロシューマー』 と呼ぶのがむしろ相応しい」 と述べた。 

サイトでは、 肌質や年齢別での絞込検索と、 絞り込んだ製品をランキングで表示しているため、 多くの女性が、 1日平均約3000件、 商品発売が相次ぐ春秋には1日5000件近く寄せられるクチコミを参考にして、 自分に最適な化粧品を選ぶ。 

同社では、 会員に対し 「なぜクチコミをするのか」 についてアンケートをしたところ、 「いい商品に出会ったから」 「他の意見が役に立ったから」 「自分の意見を伝えたいから」 などの回答が目立ち、 単なる情報発信ではなく“いい情報”を共有したい意識がクチコミをする原動力になっていることを伝えた。 

さらに、 経験に基づいた主観的意見となるクチコミは 「商品に対する期待値よりも高い時に初めて生まれる」 と述べ、 期待値と実際の使用感とのズレの大小でクチコミ内容・件数も変わってくることを解説した。 

 「当サイトにおいても月に1500~2000商品が新規登録されているが、 メーカー期待の新商品も注目を集めなければ、 生活者が手に触れる機会は少ない。 メーカーによる過度の宣伝PRは、 使用前に生活者の期待値が過剰となるため、 使用後のいい評価 (クチコミ) へとつながっていかない。 メーカー側は、 購入時点だけでなく、 購入後のコミュニケーション戦略まで考える必要がある」 (山田氏) 

急上昇キーワードは「つけまつ毛」「韓国コスメ」「毛穴」

さらに、 同社に寄せられたクチコミや検索ワードをもとに、 上半期の急上昇キーワードとトレンドを紹介した。 例年、 クチコミ件数の多いアイメーク関連は、 今年も関心度が高く、 中でも 「つけまつ毛」 のキーワード検索が増えている。 また 「BBクリーム」 を中心に 「韓国コスメ」 へのクチコミが多いという。 そして 「毛穴」 にも注目が集まっていることを紹介した。 夏期には 「美白」 や 「バストアップ」 なども上位語に名を連ねた。 

「昨年は 『オーガニック』 や 『ミネラルファンデーション』 などナチュラル志向のワードが多かったが、 今年はそれほど多くない。 一過性のブームではなく、 定着化していることがうかがえる」 (山田氏) 

また、 最近の傾向として 「検索にかけるワードがより深くなってきた」 (山田氏) と報告。 たとえば単に 「毛穴」 での検索ではなく、 「たるみ 毛穴」 や 「毛穴 黒ずみ」 など複数の言葉を掛け合わせた検索が増えているという。 

「生活者は、 情報共有の他に、 クチコミの面白さも感じているようだ。 使用したら彼氏ができた、 夫と仲直りができたなどの化粧品を指す 『恋コスメ』 は、 クチコミから生まれたワードである。 その他、 “お悩みワード”のクチコミや検索が多いのもクチコミならではの特徴といえる」 (山田氏) 

メークのトレンドは“自分らしさ”を演出できる「ナチュラルメーク」

さらに 「今年はどんなメークがしたいか」 を調査したところ、「ナチュラル」が№1ワードになっている。  「『ナチュラル』 であることは確かだが、 単に自然派志向のナチュラルメークではなく、 『洗練されたナチュラル』 『作り込んでいるがナチュラルにみえる』 など“なりたいイメージ”を明確にもつ中で、 あたかも自然にみえることを求めており、 商品の機能性やテクニックの高さに注目が集まっている」 (山田氏) 

この“自分らしさ・価値観”を大切にする傾向は、 日常のメークアップ行為の嗜好性にも表われており、 「季節ごとに新色購入」 は約3割、 「1ブランドまとめて購入」 「トレンドを意識した商品選び」 は合計で2割弱と、 予想に反して少なくなっており、 流行よりも自分の価値観で購入する生活者が増えているという。 

不況による化粧品の購買行動の変化については、 スキンケアでは 「デパートでの購入が減り、 ドラッグストアやスーパーでの購入が増えた」 「同じ機能性や効果が見込める商品であれば安価な商品を選ぶ」 「高価格帯と低価格帯の商品を組み合わせて使用する」 などに多数の意見が寄せられた。 メークアップでは手持ちのアイテムをより有効使用とする傾向がみられ、 「購入頻度が減った」 「詰替用に変えた」 など節約意識が高まっている。 

山田氏はこうした結果を分析し、 「生活者は、 楽しく賢く節約しており、 選び方の多様化が進んでいる。 自分を演出するためのバーチャルな効果への期待が高まっている」 と述べ、 「今後、 『自宅でできるエステ』 や 『アレンジやカスタマイズができる化粧品』 なども注目を集めるだろう」 と語った。

2009年10月06日 11:49