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既存原料のロングセラー化にも注力

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一丸ファルコス 開発部 研究開発課チーフ 田中清隆医学博士

素材の「ユニーク」を引き出す開発に加え相乗効果をもたらす研究開発も強化

――研究開発する上で心がけていることは。

田中 一つの原料に多面的な切り口をもたせること。例えば、「美白」原料はアジア圏でのニーズが高く、その分、競争も激しい。美白効果の探求だけでなく、他の効果も見出し、美白とは異なる土俵でも紹介・提案できる原料の開発を心がけている。当社は800種以上の原料を取り揃えており、個々の原料の効果だけでなく、それぞれが自社競合に陥らずに提案できるかどうかも開発時の重要項目である。学会発表などは、構築した学術理論に関して、専門家の方々から意見やアドバイスをいただける貴重な機会。それらを活かして理論の精度を高めている。

――これまで開発した原料の中で、特に思い入れのある原料は。

田中 近年では「バイオベネフィティ」と「クレアージュ」の2品。「バイオベネフィティ」は、アトピーやがん治療の分野でも注目される「NF―κB」に着目したアンチエイジング原料である。素材となるアーティチョークは、世界各地から集めるだけでなく、自宅でも栽培して、産地や使用部位、収穫時期による品質の違いなどの研究に活かした。「バイオベネフィティ」は、様々な効果が確認されている多機能原料だが、「毛穴改善作用」にスポットをあてることで、素材のユニーク性を高めることに成功した。

美白素材の「クレアージュ」もまた、「表皮細胞の貪食作用(ファゴサイトーシス)の抑制」からヒントを得て、「メラニンダイエット理論」と名付けて紹介している。「細胞がメラニンを取り込むこと」と食欲を同一視し、それを抑制する効果を一般消費者にも馴染みのある「ダイエット」に置き換えることで、効果の分かりやすさ・伝わりやすさを訴求した。商品化を念頭に置いた開発提案が奏功した。

――PRなどにもそのまま使えそうだ。今後はどんな開発に注力したいか。

田中 採用実績の高い原料でも経年とともに飽きられてしまう。新規原料の開発も重要だが、既存原料のロングセラー化に注力していきたい。現状の有効性に満足せず、新たな効果やユニークな切り口を見出す。また、複数の組み合わせで相乗効果を生む原料を増やして、提案力の強化につなげていきたい。

2011年02月03日 12:46