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「バイオイル」「アットノン」など”傷あとケア”の需要拡大

「あとケア(傷あとケア)」が日本人の新たなスキンケア習慣として浸透し始めている。これまでは医療用医薬品にとどまり、一般市場ではほとんど馴染みがなかったものの、IDAグループのジャンパールが美容オイル「バイオイル」(化粧品)の輸入販売を開始した2006年頃より、「あとケア」という言葉が生活者にも広く認知され始めた。

バイオイルは、1987年に南アフリカ共和国で発売された化粧品で、ユニオン―スイス社が製造元となり、現在、世界18カ国で展開。欧米諸国では、コーナー化がされるほど商品が揃い、生活に密着した商材に育っている。国内では、ジャンパールがバイオイルをドラッグストアやバラエティショップなどで展開、べたつかずにさらっとした使用感から全身用の保湿オイルとして愛用する女性も多い。

そうした市況下で今春、小林製薬(本社=大阪市)が第2類医薬品として傷あと改善外用薬「アットノン」を発売した。TVCMを軸に展開するプロモーションの反響により「あとケア」への認知が高まり、新たな市場として注目され始めている。

一般市場では「ペパリンZ軟膏」(ゼリア新薬、第2類医薬品)や「リペアオイル」(ドクターシーラボ、化粧品)、「キズパワーパッド」(J&J、管理医療機器)といった製品が上記2商品と同様のコンセプトを持っており、通販チャネルでは海外のあとケア製品を取り扱う業者が増えている。

小林製薬は先日、「アットノン」発売から2カ月で初年度売上目標6・5億円の過半を占める3・5億円(出荷ベース)を達成し、店頭では5月第2週時点で同社を代表する「フェミニーナ軟膏S」(年間売上高約11億円)の1・4倍を消化していることを明らかにした。

購入者層は、30代が最多で43%を占め、40代(21%)、20代(14%)と続く。また同社の調査では、20~50代女性の3人に1人が3年以内にできた傷あとがあることが確認されており、そのうち97%の女性が、「傷あとをなんとかしたいと悩んでいるものの、その対処ができていない」というのが現状だという。

一方、いち早く一般市場での「あとケア」の啓蒙に取り組んできたジャンパールは、20代~50代女性(各100名)の400名を対象に「傷跡に関する女性の意識調査」(インターネット調査)を08年から実施している。

今年の調査では、「(肌に)傷あとはある」という女性が9割以上おり、その跡が「気になる」女性は7割以上にのぼった。また、「傷あと」の見た目を薄くしたいかどうかを聞いてみると、86・0%が「試してみたい」もしくは「方法によるが試してみたい」といった意識があり、多くの女性が関心をもっていることが確認されている。その一方で、「傷あと」にどう向き合っているかどうか聞いてみると、「隠したいが何もしていない」(37・5%)に最も多くの回答が寄せられた。逆に、あとケアを自発的に取り入れている層は全体の約4%にとどまった。

両社の報告から、あとケアに対する潜在ニーズは大きく、これから肌を露出する機会の増える夏に向け、さらなる市場の拡大が予想される。

医療現場におけるバイオイルの有効な使用方法についてセミナー開催

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ジャンパールは、一般市場でのユーザー拡大とともに、医療従事者の啓蒙を強化し、医療現場におけるバイオイルの有効な使用方法を提案している。

 

その一環として、「傷跡と心をケアする化粧品の役割」をテーマに、土井卓子湘南記念病院かまくら乳がんセンター長とNPO法人メディカルメイクアップアソシエーションの小井塚千加子理事を講師に招いてプレスセミナーを開催した。

土井氏は「乳がん手術後の傷跡をよりきれいにするための肌ケア」について、術後患者の肌トラブルとバイオイルによりケアした肌状態の実例をスライドで紹介した。術後のバイオイルによる創部への早期マッサージにより「創部ケアから体を大切にしようという気持ちが芽生えて、心のケアといった視点からも有効性が見出せた」ことを報告した。

続いて小井塚氏が、メークアップの観点から傷跡と心をケアする化粧品の役割について、「メディカルメイク利用者のQOLの向上」をテーマに講演した。

ここで言うメディカルメイクとは、母斑や血管腫の症状や傷跡などが残っている部分をメークでカバーすることでそれらの悩みを解消する方法を指す。なお、皮膚の変色を持つ人は、全国に約10万人いると言われており、小井塚氏自身も皮膚変色に悩んできた。

講演では、自身の経験を踏まえて、メディカルメイクの概要とその効用について説明し、スキンケアとともにメークアップも傷跡と心をケアする大きな役割を果たしていることを紹介した。

 

 

2011年06月22日 11:26