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はっさくオイルでメタボ予防 コレステロール改善効果を確認/アークレイ

検体検査機器・体外診断用医薬品メーカーのアークレイ(株)(本社:京都市中京区)は、はっさく果実由来の成分「オーラプテン」を含むサプリメント(オーラプテンとして10mg/日)が、メタボリックシンドローム予備群のヒトに及ぼす影響について、第66回日本栄養・食糧学会(5月18日~20日・仙台)で発表した。はっさくオイルのサプリメントが血中の総コレステロール、インスリン等を有意に低下させることを実証し、メタボリックシンドロームに対して予防効果が期待できることを見出した。

<研究概要>
これまでの試験管内試験および動物試験といった基礎的な試験の結果から、ヒトにおいてもオーラプテン含有食品を摂取することによる抗メタボリックシンドローム効果が期待されていた。そして今回の試験で、同社が開発した「はっさくオイルエキス末(仮称)」を含有する2種類のサプリメント(オーラプテンとして10または20mg/日)をメタボリックシンドローム予備群の方(14名)が摂取することで、血中のLDLコレステロール、総コレステロール、インスリン等が有意に減少(14名で評価時)することがわかった。

以上のことから、「はっさくオイルエキス末(仮称)」はオーラプテンとして10mg/日という用量にて、メタボリックシンドロームや動脈硬化の予防および進展阻止に有用であることが示唆された。なお、同発表内容は果樹試験研究推進協議会 矢野昌充先生、京都大学大学院農学研究科 河田照雄教授との共同研究成果。

「はっさくオイルエキス末(仮称)」は同社にとって4品目の機能性食品素材。同社では今後も機能性食品素材の開発・販売を通じて、人々の健康な生活に貢献していく、としている。

<研究の背景>
・アークレイについて
アークレイは、検体検査機器・試薬メーカーで、糖尿病患者様が使用する血糖自己測定器ではマーケットリーダーとして国内で大きなシェアを占める。「世界中の人々の健康な生活に貢献する」の理念の下、患者様のケア、病気の予防まで広く貢献するためのアイテムの開発も行っている。

・機能性食品素材への取り組み
アークレイは2006年6月より機能性食品素材事業に参入し、柑橘類に含まれる機能性成分についての研究を進めてきた。すでにシイクワシャー(シークワーサー)および温州みかんについてその機能性成分と作用メカニズムを明らかにし、さまざまな学会で報告している。そしてこれらの機能性成分を高濃度に含む食品原料として、シイクワシャーエキスの「ビレチン」を販売、温州みかんエキスの「クリプトベータ」が現在発売準備中となっている。今回の「はっさくオイルエキス末(仮称)」は柑橘類由来の機能性食品素材としては3品目となる。日本人になじみの深い「はっさく」中の機能成分である「オーラプテン」に着目し、試験管内試験や動物試験の基礎的研究をベースに食品素材を開発した。

■オーラプテンに関する過去の学会発表一例■
第27回日本肥満学会(2006年10月)
演題は『柑橘由来成分、オーラプテンによるPPARsを介した糖・脂質代謝亢進作用の検討』で、柑橘類に焦点をあて、PPARα5)とPPARγ5)を同時に活性化させるデュアルアゴニストのスクリーニングを行った。その結果、特に、オーラプテンという成分が有効であることが示された。ヒト由来肝細胞HepG2および培養前駆脂肪細胞3T3-L1を用いる試験系において、オーラプテンがPPARαとPPARγを同時に活性化させるデュアルアゴニストとして、生体内での肝臓の脂質代謝亢進と脂肪細胞の機能改善をもたらすことが示唆された。

第30回日本肥満学会(2009年10月)
1演題目は、「オーラプテン摂取により、肥満・糖尿病モデルマウスの糖・脂質代謝は改善される」と題して、モデルマウスにおいてオーラプテンを摂取することでインスリン抵抗性を改善すること、脂肪組織重量が減少し抗肥満作用を発揮すること、肝臓において中性脂肪含量が減少し、PPARαの標的である脂肪酸酸化系遺伝子発現量が増加することを明らかにした。
2演題目は、「オーラプテンが肥満に伴う脂肪組織の炎症反応に及ぼす影響」と題して、オーラプテンの抗炎症作用について、in vitro(試験管内試験)での脂肪細胞とマクロファージ共添加状態で炎症性アディポサイトカインであるMCP-1、TNF-αの分泌量の増加がオーラプテンを添加することで有意に抑制されることを明らかにした。

<今後の展望>
同社では、はっさくに含まれるオーラプテンについて、メタボリックシンドローム予防という観点から、作用メカニズムに関する基礎的な検討からヒトでの検証までを行い、その有用性を見出してきた。
今後は機能性食品素材「はっさくオイルエキス末(仮称)」を通して、人々の健康な生活に貢献するとともに、その有用性について広く普及させていく予定だ。

2012年05月22日 16:07