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プロテクト乳酸菌がインフルエンザワクチンの効果を増強することを確認

サントリー健康科学研究所(所長:木曽良信、大阪府三島郡島本町)は、プロテクト乳酸菌(S-PT84株)(※1)が、インフルエンザワクチンの効果を増強することを明らかにしましたので、第58回日本ウイルス学会学術集会(2010年11月7-9日、徳島県)にて発表しました。

今回の発表骨子は以下のとおりです。

▼発表演題

「Lactobacillus pentosus S-PT84株経口摂取によるインフルエンザワクチンアジュバント効果」

▼発表者

サントリー健康科学研究所 井田正幸

【研究の背景】

近年、インフルエンザ対策にはワクチン接種が推奨されています。しかし、高齢者にはワクチンを接種してもインフルエンザウイルスと戦う抗体が充分に産生されないという報告もあります。今回は、インフルエンザワクチン接種前からプロテクト乳酸菌(S-PT84株)を摂取することにより、ワクチン接種後のウイルスに対する抗体産生が増強されるのかを確認するため、以下の実験を行いました。

なお、サントリーグループはこれまでに、プロテクト乳酸菌(S-PT84株)の様々な効能を明らかにしてきました。昨年の日本ウイルス学会学術集会においては、マウスにプロテクト乳酸菌(S-PT84株)を経口摂取させる試験により、同乳酸菌にインフルエンザを予防する効果があることを報告しました。

<実験1>

マウス12匹(16週齢・雌)を以下の2群に分け、2008/09年冬に日本で使用されたインフルエンザワクチン(A型株:A/ブリスベン/59/2007(H1N1)、A/ウルグアイ/716/2007(H3N2)、B型株:B/フロリダ/4/2006)を、3週間間隔で2回皮下接種しました。

(1)プロテクト乳酸菌(S-PT84株)を含まない飼料を摂取させたコントロール群

(2)プロテクト乳酸菌(S-PT84株)10億個/日を混ぜた飼料を摂取させた群

2回目接種の1週間後、2週間後に採血を行い、血清中のウイルスに対する抗体量(※2)を測定しました。なお、両群とも飼料は、最後の採血終了時まで継続して摂取させました。

<結果1>

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プロテクト乳酸菌(S-PT84株)を摂取した群(2)は、コントロール群(1)と比較すると、接種2週間後にA/ウルグアイ/716/2007(H3N2)ウイルスに対する抗体量の有意な上昇が認められました。

<実験2>

高齢マウス20匹(14ヶ月齢・雌)を以下の4群に分け、(2)~(4)については実験1同様に、インフルエンザワクチンを3週間間隔で2回皮下接種しました。

(1)インフルエンザワクチン未接種群

(2)プロテクト乳酸菌(S-PT84株)を含まない飼料を摂取させたコントロール群

(3)プロテクト乳酸菌(S-PT84株)10億個/日を混ぜた飼料を摂取させた群

(4)プロテクト乳酸菌(S-PT84株)30億個/日を混ぜた飼料を摂取させた群

2回目接種の2週間後、4週間後に採血を行い、血清中のウイルスに対する抗体量を測定しました。両群とも飼料は、最後の採血終了時まで継続して摂取させました。

<結果2>

1115-ra.jpg

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ワクチン未接種群(1)およびコントロール群(2)と比較した場合、接種4週間後において、プロテクト乳酸菌(S-PT84株)を10億個/日摂取した群(3)は、A/ブリスベン/59/2007(H1N1)ウイルスに対する抗体量が、プロテクト乳酸菌(S-PT84株)を30億個/日摂取した群(4)は、B/フロリダ/4/2006に対する抗体量が上昇する傾向が認められました。

また、コントロール群(2)は、未接種群(1)と比較してもほとんど差がないことから、高齢マウスにおいては、ワクチンを接種しても抗体が産生されにくいことが明らかになりました。

以上の結果から、ワクチンにより抗体産生が誘導されにくい条件においても、インフルエンザワクチン接種後のウイルスに対する抗体産生が増強されることが明らかになりました。

<結論>

ワクチンによるウイルス抗体産生が誘導されにくい高齢者においても、プロテクト乳酸菌(S-PT84株)を事前から摂取しておくことにより、インフルエンザワクチン接種後のウイルスに対する抗体産生が増強されることが期待されます。

※1:プロテクト乳酸菌(Lactobacillus pentosus S-PT84株)とは

同社では、免疫活性が強く、強固な細胞壁を持つ乳酸菌を“プロテクト乳酸菌”と呼称しています。“S-PT84株”は、同社が有する京漬物から発見した植物由来の乳酸菌で、約1,000株の乳酸菌の中から最も優れた免疫活性を示し、細胞壁が他の乳酸菌に比べて厚いことから、プロテクト乳酸菌の代表として位置づけています。

※2:抗体量とは

インフルエンザウイルスには赤血球を凝集させる作用があります。今回は、赤血球凝集能を有したウイルスと検体を反応させ、この凝集させる作用が検体中の抗ウイルス抗体によりどの程度抑制されるかを測定したものです。測定は赤血球凝集抑制法(HI)により実施しました。

▼日本ウイルス学会学術集会について

日本における微生物、特にウイルスにおける研究・調査に関わる学術機関。分子生物学者や生化学者、医師、歯科医師などの臨床系分野の研究者も数多く参加している。1953年5月に大阪大学で第1回の総会を開いてスタートを切り、以来50年以上にわたり、毎年ウイルス学の進歩を促進する目的で学会が開かれている。

2010年11月15日 18:47

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