ポーラ・オルビスグループのポーラ化成工業株式会社は、マメ科の低木・ルイボス（学名:Aspalathus linearis）から抽出したエキスを8 週間摂取することにより、皮膚粘弾性、経表皮水分蒸散量が改善され、さらにその作用メカニズムとして毛細血管の機能改善が重要であることを明らかにしました。この結果から、ルイボスエキスは毛細血管の機能改善という体の中からの新たなアプローチにより、肌のハリ感低下、乾燥、くすみなどの悩みをサポートすることが期待されます。
ポーラ化成工業では、食品成分を経口摂取することにより、体の中から肌を美しくするための研究を行ってきました。その一環として今回は、古くから健康茶、美容茶として利用されているルイボス醗酵茶葉を、含水エタノールで抽出したルイボスエキスについて、8 週間の摂取試験を実施しました。その結果、ルイボスエキス摂取により、皮膚粘弾性、経表皮水分蒸散量が改善され（図1、図2）、ハリ感の向上、乾燥感やくすみの軽減など、肌状態の改善が実感できることを明らかにしました。
■ルイボスエキスが肌状態を改善する仕組み
真皮、表皮の細胞が機能を発揮するためには、細胞に栄養を補給する真皮の毛細血管がアーチ状に伸び、その先端まで十分に血流が届いていることが重要です。毛細血管形状を左薬指尖の爪上皮にて観察したところ、ルイボスエキス摂取前と比べ、8 週間摂取後にアーチ形状の長さが有意に伸長していることがわかりました（図3）。さらに、血管内皮細胞を用いた実験では、ルイボスエキスが細胞同士の接着力を有意に高めることがわかりました。つまり、ルイボスエキスは血管内皮細胞の接着力を高め、毛細血管の構造を安定化させることで、皮膚に十分な血液をめぐらせ、栄養を届けることを可能にし、真皮、表皮の細胞の機能性を高めたことが示唆されます。ポーラ化成工業ではこの研究成果を、2013 年8 月29 日から31 日に開催された第60 回記念大会日本食品科学工学会にて発表いたしました。また、ポーラ・オルビスグループのオルビスから、ルイボスエキス配合美肌サプリメントを本年11 月に発売する予定です。
【ルイボスとは】
ルイボスは南アフリカに自生する落葉亜低木（図4）で、葉を醗酵させたものは、古くから原住民の間で健康茶として飲まれていました。醗酵茶葉にはポリフェノールが多く含まれており、抗酸化作用、抗アレルギー作用、抗菌作用などが確認されています。一般的には醗酵茶葉を水で煮出し、お茶として飲まれていますが、今回は水溶性成分だけでなく、脂溶性成分まで活用するために、醗酵茶葉を10 倍量の30％アルコールにて2 回還流抽出（85℃）したエキスを試験に用いました。
【ルイボスエキス摂取試験について】
20～50 歳の健常女性18 名を対象に、ルイボスエキスの肌状態と毛細血管機能への影響を検討しました。被験者はルイボスエキス25mg を毎日摂取しました。肌状態の評価は、摂取前と摂取8週間後に皮膚粘弾性、経表皮水分蒸散量の測定、VAS 法による肌改善の自覚評価を行いました。その結果摂取8 週間後には、摂取前と比べて皮膚粘弾性、経表皮水分蒸散量ともに有意に改善し（図1、2）、自覚評価についても、ハリ感、乾燥、くすみ、うるおい、肌の明るさ、化粧のり、たるみの項目で有意な改善実感が認められました。なお肌状態の機器測定は、油性および水性洗顔料でのダブル洗顔後、温度:20±2℃ 湿度:50±2％RH の環境下で馴化した後に行いました。毛細血管機能の評価は、摂取前と摂取8 週間後に、左薬指尖の爪上皮の毛細血管形状を拡大画像装置にて画像化し、毛細血管が形成するアーチ形状の長さを、アーチの頂点を起点に手の甲方向に計測しました。その結果、摂取8 週間後のアーチ形状の長さは、摂取前と比べて有意に伸長していました（図3）。
【血管内皮細胞試験について】
血管内皮細胞同士の接着力を評価しました。図5に示す実験装置のシャーレ上層に血管内皮細胞を培養し、ルイボスエキスを添加しました。その後、シャーレの上層と下層に設置した電極で、電気抵抗値（TER 値）を測定しました（図5）。血管内皮細胞の接着力が強いと、シャーレの上層から下層に電流が通りにくくなりTER 値が上昇します。その結果、ルイボスエキス濃度に依存的なTER 値の上昇が確認され、血管内皮細胞同士の接着力が強化されることが分かりました（図6）。
【お問合せ】
（株） ポーラ･オルビスホールディングス
広報・IR 室
Tel 03-3563-5540/Fax 03-3563-5543
◎ポーラ化成工業株式会社 2013年9月24日発表
http://www.pola-rm.co.jp/pdf/release_20130924.pdf
