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ロームとA*STARのIME 次世代工場向けにセンサノード上で 装置の異常を検知する人工知能チップの共同研究を発表/ローム

半導体メーカーのローム株式会社(本社:京都市)とシンガポール科学技術研究庁 (Agency for Science, Technology and Research、略称A*STAR) の世界的な研究機関であるマイクロエレクトロニクス研究所 (Institute of Microelectronics、略称IME) はこの度、次世代工場向けに、センサノード上で装置の異常を検知する人工知能 (AI) チップの共同研究を行うことで合意しました。

従来の装置の異常検知は、複数のセンサからの大量の情報を装置内のパソコンやサーバーに送信してから処理するのが一般的でした。本研究では、サーバーで処理していた異常検知アルゴリズムを半導体チップに搭載し、センサ情報をセンサノード内で処理することで、システム全体の消費電力を大幅に低減するとともに、あらゆる装置に搭載可能な汎用性の高い異常検知機能を提供します。

近年、製造業の工場では、装置のログやセンサなどから得たデータをもとに、装置の異常の”予兆”をあらかじめ検知し、故障する前に修理や代替準備などの対策をとる「予兆保全 (Predictive Maintenance)」という考え方が広まりつつあります。この予兆保全には、装置の状態をセンシングするための各種センサおよびセンサノード、センサが取得したデータをサーバーに送信するための無線モジュール、そしてデータを処理するためのソフトウェアなどIoT技術が広く使われています。特にソフトウェアの領域では、従来の統計処理に加えて、人工知能 (AI) に由来する技術も導入されるようになってきました。

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一方で、こうしたソフトウェアの成果を活用するには、センサから大量のデータを送り続ける必要がありますが、WSN (Wireless Sensor Network)*1) 向けの無線通信技術は大量のデータを送り続けるには通信速度が足りず、今後増え続けるセンサの数に対応できなくなる可能性があるという課題がありました。 (図1)

こうした中、ロームとA*STARのIMEは、センサからのデータをその場で処理し、異常を検知した場合のみその結果をサーバーに送ることのできる人工知能チップの共同研究を開始しました。ロームが保有する工場で得た大量のデータで実証された人工知能を用いた独自の解析アルゴリズムを、IMEとロームが得意とするアナログ回路を駆使した半導体回路技術に組み合わせ、チップに実装します。 (図2) これにより、マイコンやFPGAなど既存の処理系では達成できなかったセンサノードでの高度な処理が可能となり、無線通信によるネットワーク構築を容易にするとともに、サーバーの負荷を劇的に軽減できます。また、ロームが持つセンサや無線モジュール、バッテリレスの通信技術であるEnOcean*2) と組み合わせることで、あらゆる箇所に簡単にワイヤレスでセンサノードが設置できるようになります。ロームとIMEは本研究を通じて、今後も、世界の工場の次世代化に貢献していきます。

ローム株式会社 基礎研究開発部 部長 谷内 光治
「今回、A*STARのIMEと初めて協同研究ができる事を非常に嬉しく思います。ロームのセンサ技術、アナログローパワー技術とAIアーキテクト、そしてIMEの低消費電力な集積回路技術を融合してエッジノードに最適なソリューションを提供したいと思います。」

マイクロエレクトロニクス研究所 (IME) Executive Director Tan Yong Tsong氏
「IMEは長年にわたり、リサーチデザインやプロセス技術はもちろん、集積回路やシステムの専門知識と能力を蓄積してきました。近年、製造工場においては、バリューチェーン全体をシームレスなネットワークでつなぎ、それぞれの操作を一体化させるための非常に高度でインテリジェンスなソリューションが求められています。未来の次世代工場で予兆保全を行うために必要不可欠なデータ転送や解析にとって、今回のロームとの人工知能チップに関する共同研究は、重要な一歩です。」

*1) WSN (Wireless Sensor Network):
複数のセンサ付無線端末が互いに協調することで、環境や物理的状況を採取することを可能とする無線ネットワーク。
*2) EnOcean (エンオーシャン):
光や温度、振動などの微弱なエネルギーを集めて電気エネルギーに変換する「エネルギーハーベスト技術(環境発電技術)」を使用した、電池不要の無線通信規格。ロームは「EnOcean Alliance」の主幹メンバーであるプロモーターのメンバー。

<会社概要>
■シンガポール科学技術研究庁 (A*STAR) について
シンガポール科学技術研究庁 (A*STAR) は、シンガポールを代表する公的機関として、科学における発見の促進とイノベーティブな技術の開発につながる経済指向型の研究を推進しています。オープンイノベーションを通じて官民のパートナーと協力し、社会に役立つ活動を行っています。

A*STARは科学技術組織として産学の橋渡し役を担っています。その研究活動はシンガポールに経済成長と雇用創出をもたらし、ヘルスケア、都市生活、サステナビリティといった分野で成果を上げて社会に貢献し、暮らしを向上させます。
このほかA*STARは、庁内および傘下の研究所、さらには広く研究コミュニティや業界全般に向けて、多彩な人材やリーダーを育成する重要な役割を担っています。A*STARは、主としてバイオポリスとフュージョノポリスに拠点を置く18の生物医学・物理科学・工学研究組織を統括しています。

■A*STARマイクロエレクトロニクス研究所 (IME) について
マイクロエレクトロニクス研究所 (IME) は、シンガポール科学技術研究庁 (A*STAR) に所属する研究機関です。産学における研究開発の橋渡し役として、シンガポール半導体産業の付加価値向上を使命とし、業界の戦略的能力と革新的技術および知財の開発、企業の技術競争力の向上、ならびに業界に新知見をもたらす技術人材の育成などを進めています。主な研究分野は、IC設計、先進的パッケージング、バイオエレクトロニクス、医療機器、MEMS、ナノエレクトロニクス、フォトニクスなどです。

【詳細は下記URLをご参照下さい】
ローム株式会社 2017年5月18日発表【PDF】
ローム株式会社 公式サイト(会社概要)

[特集]機能性表示食品制度[機能性表示対応素材]《更新随時》

2017年05月18日 15:38

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