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菌類が決断・記憶能力を持つことを発見 ~脳神・経系を持たない微生物の知能~/東北大学

東北大学大学院農学研究科の深澤遊助教と英国カーディフ大学の LynneBoddy(リン ボッディ)教授らは、木片から土壌中に伸びた菌類の菌糸体が新たな木片を見つけたときに、その木片に完全に引っ越すか、もとの木片にとどまるかを、新しい木片の大きさによって決断していること、新しい木片の方向を記憶する能力があることを発見しました。同研究成果は 2019 年 10 月 19 日(土)に微生物生態学の国際誌「The ISMEJournal」のオンライン版で公開されました。

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■ 発表のポイント
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◎ 菌類の菌糸体が新しい木片(エサ)を見つけたときに、新しい木片に引っ越すか元の木片にとどまるかを、新しい木片の大きさで決断していることを発見した。
◎ 菌類の菌糸体が新たに見つけた木片の方向を記憶していることもわかった。
◎ 脳も神経系も持たないカビ状の菌類の菌糸体がもつ知性のメカニズムを解明することは、知性の進化的起源の解明や、生態系の物質循環の理解に役立つと考えられる。

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■ 研究の背景
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最大で数千ヘクタールにも及ぶ菌糸体を土壌中にはりめぐらせる菌類は、地球上で最大の生物ともいわれ、落葉・枯死木などの植物遺体に由来する有機物の分解や生きた樹木との菌根共生によって、森林生態系の物質循環に主要な役割を果たしています。土壌中にはりめぐらされた菌類の菌糸体は、新たな枯死木を探索して定着しますが、このような菌糸体の行動に「知性」が見られるかどうかはこれまで検討されてきませんでした。しかし、菌類と同様に脳も神経系も持たない単細胞生物である変形菌では、記憶・決断能力があることや、迷路といった複雑な問題を解く能力があることが示されています。

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■ 研究の内容・成果
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同研究では、 土壌を板状に敷いた培養シャーレ内で 、担子菌類 注1) のPhanerochaete velutina の菌糸体注2)の行動を観察することで、菌糸体が資源の栄養状態によって自分の行動を決断していることを発見しました。

さらに、新しい資源を見つけた後はその方向を記憶できる可能性もあることがわかりました。今回、菌糸体を定着させた様々な大きさの木片(接種源)を土壌シャーレに置き、菌糸体が土壌に伸びてきた後に、新しい木片(エサ)を土壌上の少し離れた場所におき、菌糸体に「見つけさせ」ました。しばらく培養すると、小さいエサを見つけた菌糸体は、エサを見つけた後も接種源の木片から離れずに周囲の探索を続けましたが、大きいエサを見つけた菌糸体は、周囲の探索は終了して新しいエサに集中的に定着し始めました(図 1)。

この状態でひと月ほど培養したのち、接種源の木片を新しい土壌シャーレに移すと、小さいエサを見つけた菌糸体はまだ接種源に残っているので再び生長を開始しましたが、大きいエサを見つけた菌糸体はすでに新しいエサに完全に引っ越していたため生長は見られませんでした。この結果は、菌糸体が新しいエサの大きさによって自分の行動を決断していることを示しています。

さらに、接種源からの生長が見られた際には、もともとエサがあった方向へより多くの菌糸生長が見られました。この結果は、菌糸体がエサのあった方向を記憶している可能性を示しています。

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■ 今後の展望
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今回の実験で、脳や神経系を持たない菌類の菌糸体にも、決断や記憶を行う原始的な知性があることが示されました。菌類の菌糸体が何かを「考え」ながら土壌中で有機物の分解や菌根共生を行なっているというアイデアは、物質循環や土壌生態系に関する私たちのイメージを根底から覆す可能性があります。

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■ 参考図
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【用語解説】
注1) 担子菌類
枯れ木や落ち葉の分解に主要な役割を果たすグループの菌類

注2) 菌糸体
いわゆる「カビ」状をした、菌類の本体。

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■ 論文情報
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“Ecological memory and relocation decisions in fungal mycelial networks: responses to quantity and location of new resources”
Yu Fukasawa, Melanie Savoury, and Lynne Boddy
DOI: 10.1038/s41396-019-0536-3

【詳細は下記URLをご参照ください】
東北大学大学院農学研究科 2019年11月8日【PDF】発表
東北大学 ホームページ
東北大学 大学院農学研究科・農学部 ホームページ

2019年11月11日 17:37

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