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<ヒットの深層>ナゼ美人時計はすごいのか

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「美人」+「時計」+「WEB」。Bijin-Tokeiを数式で表すなら、左のようになる。しかし、この単純な“足し算”には無限の解がある。立ち上げからわずか1年で月間3億PVをカウントする巨大コンテンツに成長した事実が、その一端を物語っている。「ありそうでなかった」絶妙のアイディアは、どのように生まれ、育成されたのか――。

360人の美女が1440枚の写真で24時間を毎分ごとに知らせるBijin-Tokei。WEB上で見飽きるほど美女の画像を見ていても、Bijin-Tokeiの画像が切り替わる瞬間には他とは違う不思議なワクワク感がある。4分に1人の割合で美女に会える期待感が、男心をくすぐるのだろうか。「ありそうでなかった」と評する声が多いそうだが、優れたコンテツを目にした後のコメントではやっかみにしか聞こえない。

その証拠にBijin-Tokei登場後、まがいモノが続出したが、本家の地位は微塵も揺いでいない。運営会社の(株)美人時計取締役・橋本竜氏は「マネされるのはそれだけ価値がある証拠。有名税と思っています。もちろん気持ちよくはありませんが、マネして成功しているところはありませんから」と痛快に言い放つ。

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絶対的自信の裏には、2つの壮大な理念がある。ひとつは「Bijin-Tokeiを国民全員が知るコンテンツにする」。そしてもうひとつは「Bijin-Tokeiを日本が世界の誇れるコンテンツにする」。最初の理念は、ほぼ完遂間近だ。最近では、地方版や美男版、美声版など進化形の開発にも積極的に取り組み、その魅力に一段と磨きをかけている。2つ目の野望もすでにパリ版、中国版などを公開し、現在もスタッフが世界中で美女の撮影を行うなど、着々と実現への地固めが進んでいる。

「ありそうでなかった」の声を肯定的に解釈することもできる。というのもBijin-Tokeiのアイディアは、もとをたどれば100以上の企画のひとつ。他社の企画の中にもひょっとしたら類似の企画が埋もれていた可能性がなくはないからだ。最終的には、その中から「生活必需品である」、「全世代に受け入れられる」、「見て楽しい」…などあらゆる要素を考慮し、最も理念を実現できるコンテンツとしての可能性がある、という判断により、Bijin-Tokeiは日の目をみることになった。

ただし、これを100分の一の偶然、と捉えるのは短絡的過ぎる。なぜなら、その選考基準は、いわゆるビジネス主体の企画選びとは180度違ったからだ。橋本取締役は当時を振り返り「全く収益化は考えていませんでした」と証言する。ベースとしたのは、単なるコンテツとしてではなく、なんと現代アートとしての視点だ。世界標準を目指すコンテンツ作りには、アートの要素が不可欠だったのだ。そうした強いこだわりやキメの細かさが、物まねコンテンツを寄せ付けない圧倒的なオリジナリティとクオリティを醸しだす要因といえる。

技術面でのこだわりも見逃せない。毎分画像を変えるBijin-Tokei。そのサーバー負荷は尋常でない。設備が陳腐ならすぐに止まってしまう。実際、初期のBijin-Tokeiは、“故障”が多かったという。単なる話題のコンテツとしか考えていなければ、あえて膨大な予算をかけてまでサーバー増強はしなかったかもしれない。しかし、アートの視点からは、時計が狂うこともその美学が許さなかった。妥協なき基幹システムの強化により、Bijin-Tokeiは、正確に時を刻み、毎分違うショットの美女画像を提供する稀有なコンテンツへと成長した。

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現在、同社には月間3億PVという膨大なトラフィックと美女と時計がテーマという斬新さ、ユニークさなどでタイアップ企画や広告依頼が殺到。そして、それ以上に「載ることがステータス」との評判が定着し、“自称美人”から時計への掲載を熱望する履歴書が連日、届いているという。いまでは、企画も広告も、そして美女にまで「待ってもらっている」状態、というからうらやましいほどのモテモテぶりである。

「美人」+「時計」+「WEB」。分解すれば単純極まりない数式から生まれた稀有なコンテンツはいま、つぎつぎ湧き出る無限の解をひとつひとつ着実に形にしながら、デフレ不況の中、爆発的な成長曲線を描く。その一方で決して浮かれることなく、永遠不変のアートを目指し、世界をその視野にハッキリと捉え、WEBの世界を突き進んでいる。

2010年02月09日 17:19