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油分を用いずに乳液のような「海島構造※」化粧膜を形成させる製剤技術を開発/ポーラ化成工業

ポーラ・オルビスグループのポーラ化成工業株式会社は、無油分(オイルカット)でかつ、乳液を使用した時のような、やわらかく、しっとりとした後肌感を実現できる新製剤を開発しました。本研究成果は、第76回SCCJ研究討論会(2015年7月9日、日本化粧品技術者会主催)での発表、及びポーラ・オルビスグループのオルビス株式会社から今秋発売される化粧品への活用を予定しています。
※水溶成分(=海)の中に微細な油滴(=島)が細かく分散した化粧膜構造

■開発の背景
通常、乳液には油分が含まれており、これが角層をやわらかくし、潤いを閉じ込める役割を果たします。一方、ポーラ化成工業では“無油分(オイルカット)環境下においては、美肌と密接な関係にある酵素の活性が高くなる”(同社技術リリース2013年11月28日)という独自の理論に基づき、“オイルカット”製剤も開発しています。オイルカット製剤では、水溶性成分や保湿剤に由来するさっぱりしたテクスチャーやしっとりした後肌感が主体となりますが、今回、さらに使用感の満足度を向上させる心地よさを実現するため、より塗布後のやわらかさや、弾力及びしっとり感のあるテクスチャー、そして後肌感を兼ね備えた新製剤の開発を目指しました。

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■「海島構造」が高い満足感の鍵を握る
「やわらかさ」、「弾力感」及び「しっとり感」に優れた乳液を顕微鏡観察すると、水溶性成分(以下「海」と表現)の中に2ミクロンから4ミクロンの微細な油滴(以下「島」と表現)が細かく分散した、特徴的な「海島構造」と呼ばれる化粧膜構造が形成されていることがわかりました。

一方、従来のオイルカット製剤には水溶性成分しか配合されていないため、いわゆる「海」だけの均一な化粧膜になってしまい、海島構造は形成されません。そこから、油を使わずに「海島構造」を形成する新素材を開発できれば、乳液を使用した時のような満足感が得られるオイルカット製剤が得られる可能性が高いと考えました。これを実現するため、“化学構造の異なる高分子が溶けた水溶液を濃縮すると、それまで均一に混ざっていた高分子が個々に分離し、凝集してゆくという現象”を応用し、油の代わりに島となる新素材ISpolymer KT-TN®※を開発しました。

更に、島の大きさをコントロールする技術を確立し、オイルカット製剤で微細な島を有する、海島構造化粧膜の作成に成功しました。
※(メタクリル酸メトシキPEG-23/ジイソステアリン酸メタクリル酸グリセリル)コポリマー

■海島構造の実現により使用感の満足度向上を実現
新たに開発したオイルカット製剤を用いて、20~50代の女性48名を対象に、7段階のスコアによる使用感評価を実施しました。その結果、ISpolymer KT-TN®を配合した新オイルカット製剤を使用すると、乳液に匹敵する「やわらかさ」、さらには乳液を上回る「弾力感」及び「しっとり感」が得られると評価され、海島構造化粧膜により、使用後の満足感が向上することが実証されました(図2)。

【お問い合わせ先】
(株) ポーラ・オルビスホールディングス
コーポレートコミュニケーション室
Tel 03-3563-5540/Fax 03-3563-5543

※詳細は下記URLをご参照下さい
◎ポーラ化成工業株式会社 2015年7月2日発表
http://www.pola-rm.co.jp/pdf/release_20150702.pdf

◎ポーラ化成工業株式会社
http://www.pola-rm.co.jp/

2015年07月02日 13:12

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