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角層中のタンパク質「HSP27」がかゆみの指標になる可能性/ファンケル

株式会社ファンケルは、世界に先駆けて、独自開発した老化リスクの測定技術「角層バイオマーカー」を活用し、乾燥によるかゆみ症状を測定することを目的として、東京女子医科大学 川島眞教授、新宿ヒロクリニック木村育子医師と共同研究を進めてきました。その結果、新たに角層中のタンパク質(Heat Shock Protein 27「HSP27」)が、かゆみの指標になる可能性について見出しました。

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<研究背景・目的>
同社独自の角層バイオマーカーとは、テープによって採取した皮膚の角層中にあるタンパク質を解析し、皮膚の老化リスクを測定する技術です。皮膚のバリア機能を測定するタンパク質「ガレクチン7」1)や、抗酸化力を持つタンパク質「DJ-1」2)など、これまでに 7 種類のタンパク質を用いて、一人ひとり異なる皮膚の特長を解析するシステムに応用してきました。今回、乾燥対策を目的としたサプリメントの経口摂取における、皮膚の乾燥症状改善効果を検討する試験において、医師による皮膚所見や、本人の自己申告によるかゆみの評価に加えて、角層バイオマーカーを試験指標として研究を進めました。乾燥については、「ガレクチン7」を、また、かゆみの指標として、刺激によって増加する「Heat Shock Protein 27」(HSP27)3)に着目し、角層バイオマーカーの測定を行いました。

1) ガレクチン 7
細胞同士の接着に関連するタンパク質。経皮水分蒸散量と相関し、皮膚のバリア性を評価できる。
S.Niiyama et al. Galectin-7 in the stratum corneum: a biomarker of the skin barrier function.
International Journal of Cosmetic Science.(in press),2016

2) DJ-1
抗酸化力をもつタンパク質
S.Ishiwatari et al. The protective role of DJ-1 in ultraviolet-induced damage of human skin:
DJ-1 levels in the stratum corneum as an indicator of antioxidative defense Archives of
Dermatological Research 307(10),925-935,2015

3) HSP27
熱ストレス、紫外線、活性酸素種などの外的ストレスにより変性したタンパク質を修復し、生体恒常性維持に関与するタンパク質。
S.Niiyama et al. Heat Shock Protein 27 kDa Content in Stratum Corneum Correlates with
Severity of Atopic Dermatitis. Acta Dermato-Venereologica (in press),2016

<研究結果>
乾燥による肌荒れの自覚がある健康な 40 歳以上の女性に、「グルコシルセラミド・植物性乳酸菌・N-アセチルグルコサミン」配合サプリメントを、8 週間摂取してもらった結果、医師の観察により皮膚の乾燥症状の改善効果が認められました。また、前述の医師観察評価と、皮膚の水分蒸散量に関与するガレクチン7量にも相関が認められ(図 1)、内服による乾燥の改善効果を、角層バイオマーカーで評価できる可能性が認められました。さらに、かゆみを自己申告で評価するNRS法 4)とHSP27 を比較して解析した結果、かゆみを感じるほど、HSP27 量が増加するという相関結果が得られました(図 2)。また、試験食品の摂取によりかゆみが改善した群と、変化しなかった群に分けて、HSP27 量を比較したところ、かゆみ改善群では、かゆみに変化がなかった群に対して、試験開始後 8 週間で角層中HSP量が有意に減少しました(図 3)。以上の結果より、皮膚のかゆみ症状を判定する方法として、医師による皮膚所見や、自己申告によるNRS法などの従来法に加え、角層バイオマーカーがかゆみの測定方法になることが分かりました。特に客観的な評価が難しいかゆみについて、HSP27 を指標として用いることが有用であると考えられました。
4) NRS法 被試験者が、直近 1 週間の痒みの程度を Numeric rating scale(0~10 点)で記録する方法

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<今後の展開>
本共同研究は、グルコシルセラミド・植物性乳酸菌・N-アセチルグルコサミン配合サプリメントの乾燥改善効果については論文発表(木村 ら 臨床医薬 31(10), 891-905, 2015)を、また、かゆみとHSP27 の関係については、第 115 回日本皮膚科学会年次大会(2016 年 6 月 3 日~5 日/於:京都)で学術発表を行いました。【食品の皮膚機能改善効果を検討する臨床試験における角層バイオマーカーの応用 高橋理子(株式会社ファンケル)、松熊祥子(同)、木村育子(医療法人社団 三育会 新宿ヒロクリニック)、 川島 眞(東京女子医科大学)

【詳細は下記URLをご参照下さい】
株式会社ファンケル 2016年6月9日発表
株式会社ファンケル 公式サイト

[ 特 集 ] 機能性表示食品制度[機能性表示対応素材] 《更新随時》

 

2016年06月09日 17:55

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