健康と美容のニュースなら健康美容EXPOニュース

1979年発売「酵素パワーの『トップ』」が未来技術遺産に登録/ライオン

20160912a_i.png

ライオン株式会社が1979年に発売した酵素配合の衣料用洗濯洗剤「酵素パワーの『トップ』」が、独立行政法人・国立科学博物館が認定する2016年度の「重要科学技術史資料(愛称:未来技術遺産※)」に登録されます。登録証および記念盾授与式は2016年9月13日に国立科学博物館にて開催されます。同社が保有する技術資料が未来技術遺産登録を受けるのは、2009年度の「界面活性剤製造設備(TOリアクター)」についで2回目です。

※国立科学博物館は、先人たちの科学技術を次世代に継承することを目的として、2008年に「重要科学技術史資料」(愛称:未来技術遺産)の登録制度を発足させました。2015年までに計8回で209件が登録されています。2016年は16件が登録となります。

■「酵素パワーの『トップ』」の時代背景
1970年代は、生活排水の環境への影響が社会問題となり、環境へ配慮するため「リン分を低減しながら洗浄力低下を補う技術」を開発することが求められ、難しい課題とされていました。そうした中、汚れを直接分解できる酵素は、洗剤の洗浄力を高める成分として期待されていましたが、1960年代に国内外で発売された酵素配合洗剤中の酵素は、造粒技術が未熟なため発塵しやすく、洗剤の製造時や使用時の安全性に懸念の声が高まり、販売中止が相次いでいました。

同社が酵素を配合するための技術課題は、「安全性」と「安定性」でした。「安全性」は、酵素メーカーであるノボ社(デンマーク)が開発した、顆粒状にカプセル化した酵素に着目し、慎重かつ広範に安全性を評価・確認して市場導入に臨みました。また、「安定性」については、分解を受けやすい酵素を安定に配合するため、同社が洗剤の主成分としていた生分解性の良い界面活性剤AOS(アルファオレフィンスルホネート)を活用することによって解決しました。「酵素パワーの『トップ』」は、リン分低減による環境配慮と同時に、洗浄力を向上させることに成功しました。今回の「未来技術遺産」の審査では、同業他社が酵素配合洗剤の販売を中止する中で、その安全性を確保し、市場に受け入れられたはじめての商品である点を評価いただきました。

■もう一つの未来技術遺産「界面活性剤製造設備(TOリアクター)」の功績
「酵素パワーの『トップ』」の成功の裏には、酵素との相性がよく安定配合しやすく、かつ、生分解性の良い界面活性剤AOSを、大量に合成できる製造設備(TOリアクター)がありました。このTOリアクターは2009年に未来技術遺産に登録されています。

■環境配慮型洗剤の開発にかける志の継承
同社は1973年、日本初の無リン洗剤『せせらぎ』を発売しました。『せせらぎ』は石油ショックの余波により販売中止となりましたが、「無リン化」の研究は継続し、今回認定された「酵素パワーの『トップ』」の開発に結びつきました。同商品は、低リン化と洗浄力の両立を果たした洗剤として市場に受け入れられました。翌1980年には、酵素配合技術を生かして、リン分をゼロにした「酵素パワーの『無りんトップ』」を市場に出すことに成功しました。現在では、衣料用洗剤において酵素は欠くことのできない洗浄助剤として定着するまでになっています。

その後も環境配慮型洗剤の開発を継続し、1980年代にはコンパクト化を推進するとともに、原料の抜本的な見直しという大きな課題に取り組み、パーム油などの植物由来で独自に開発した界面活性剤を順次導入しています。現在同社では、粉末洗剤、液体洗剤、柔軟仕上げ剤は、植物由来の界面活性剤を主剤としています。

< 【詳細は下記URLをご参照下さい】
ライオン株式会社 2016年9月12日発表
ライオン株式会社 公式サイト

[ 特 集 ] 機能性表示食品制度[機能性表示対応素材] 《更新随時》

 

2016年09月12日 16:50

関連記事