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高純度EPAの抽出・精製技術を結集させた鹿島医薬品工場を竣工/日本水産(ニッスイ)

日本水産株式会社は、中期経営計画「MVIP2017」の一環として、かねてより建設中の「ファインケミカル総合工場鹿島医薬品工場」が、5月11日に竣工しました。

同工場は、医薬品原料としてのEPA(エイコサペンタエン酸、注1)の生産に特化し、ニッスイが長年にわたり培ってきた高純度EPAの抽出・精製技術を結集させた最新の生産設備を有します。

今後はcGMP(注2)基準の取得などに着手し、2018年1月に稼働開始の予定です。投資金額は総額80億円、建設地は既存のファインケミカル総合工場鹿島油脂工場(茨城県神栖市、注3)の隣地です。

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【特徴】
将来の海外輸出を視野に、cGMP基準に対応する、高品質で安全かつ高生産性の生産施設です。

原料の魚油から高いEPA回収率を実現し、さらに低い濃度のEPAの原料魚油からでも高純度EPAの製造を可能にします。これにより原料魚油の選択範囲の拡大が可能となります。

精留過程で使用する熱源には、熱効率のよい高圧蒸気を使用します。プロセス液を冷却する過程で得られる熱エネルギーを回収して蒸気を発生させ、これを熱源として有効利用するなど、環境負荷を低減します。

製品保管倉庫は自動倉庫とし、製造所からの無人搬送車による自動設備と組み合わせて、入出庫作業を省力化します。また免震ラックを採用して、地震の揺れから製品を守ります。

今後予測される国内外のEPA医薬品市場の拡大に備えて、特に海外への医薬品供給には不可欠のcGMP基準による品質・生産管理を実施し、世界最高水準の品質と生産性を追求します。

同工場は既存工場とともに、原料の魚油から製品まで一貫して取組むニッスイ独自の供給体制のもと、世界一のEPA原体メーカーを目指す同社のファインケミカル事業を支えてまいります。

◎注1 EPA
EPA(エイコサペンタエン酸)はいわしなどの魚油に含まれる成分のひとつで、オメガ3系の必須脂肪酸の一種ですが、体内でほとんど生成することができないため、毎日の食生活を通じて摂取する必要があります。EPAには、心疾患リスクの軽減や血中中性脂肪の低下、抗炎症などのさまざまな作用が認められており、1990年には閉塞性動脈硬化症、1994年には高脂血症の治療薬として認可されました。

ニッスイでは、創業期の1920(大正9)年に日本初となった民間の水産研究機関「早鞆(はやとも)水産研究会」を設立、1934(昭和9)年に魚油の加工利用のための研究が開始されました。これが今日のEPAの研究につながっています。ニッスイは、千葉大学と1980年に着手したEPAの疫学調査によりその有用性を把握し、持田製薬との医薬品の共同開発を経て、1990年、医薬品の承認を得るに至りました。

また高度精製技術を開発して、高純度EPAの生産に世界で初めて成功しました。以来、ニッスイは、医薬品原料から生活者向けの健康食品・特定保健用食品・機能性表示食品まで、幅広い用途のEPA関連製品の生産・販売と商品開発に取り組んでいます。

◎注2 cGMP (current Good Manufacturing Practice):「最新の医薬品および医薬部外品の製造管理および品質管理の基準」。医薬品の製造にあたり、承認を受けた規格どおりに安定した高い品質の製品を生産するため、原料の受入から製品の出荷までの製造工程全般にわたる管理と工場の建物や機械設備の配置などについて、人為的なミスをなくすために定められた基準。

◎注3 ファインケミカル総合工場鹿島油脂工場
現在、EPA医薬原料、食品向け素材として機能性脂質(EPA・DHA)やフィッシュコレステロール、キトサンオリゴ糖など、化粧品素材としてN-アセチルグルコサミンやオレンジラフィー油など、幅広い製品を生産しており、ファインケミカル事業の中核生産施設として稼働しています。鹿島医薬品工場の稼働により、食品向け機能性脂質などを中心に生産します。

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◎名称
日本水産株式会社 ファインケミカル総合工場鹿島医薬品工場

◎所在地:
茨城県神栖市東深芝18-2

◎工場建築面積:
2,728m2
◎工場延床面積:
3,708m2

◎構造:
医薬品製造所・・・鉄骨造 2階建
医薬品倉庫・出荷場などのその他の施設…鉄骨造平屋建

◎主要設備:
医薬品製造所・・・魚油高度精製用の連続蒸留設備、液体クロマト設備
医薬品倉庫・・・免震架台を有する自動倉庫、自動搬送設備(コンベア・AGV)

◎設備能力:
医薬品製造所・・・医薬品原料生産能力420トン/年
医薬品倉庫・・・200リットルドラム缶製品保管量は最大720ドラム

◎関連施設:
屋外タンク・・・タンクヤード2施設分、コーンルーフタンク10基
医薬品工場専用の医薬品用窒素タンク1基
第2水処理設備の設置・・・生産能力増強に伴う砂ろ過およびRO水(注4)の処理能力の増強

◎注4 RO(Reverse Osmosis)水:浸透圧とは逆の大きな圧力をかけることで「逆浸透」を起こす逆浸透膜(RO膜)によって作られた水。RO膜によって、水に本来含まれているさまざまな不純物を取り除くことができる。

【詳細は下記URLをご参照下さい】
日本水産株式会社  2017年5月12日発表
日本水産株式会社  公式サイト(企業情報)

[特集]機能性表示食品制度[機能性表示対応素材]《更新随時》

2017年05月12日 17:05

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