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2桁成長引き寄せた戦略とは

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エステサロン卸を展開するドクターリセラ (大阪市) は、 2本目の柱に育成したい通販事業で登録顧客数を6万人超に乗せた。 流通政策では電話業務 「ダイヤルエステ」 のシステムの構築と、 商品政策では通販限定美白クリーム 「スーパーホワイト」 の発売が好調を後押ししているという。 2009年度の総売上高 (約34億円) に関し、 2ケタ成長を引き寄せた奥迫哲也社長に話を聞いた。 

――卸と通販の兼業によって弊害はないのか。 

奥迫 当社は卸専売と通販専売品と異なる商品を展開している。 そもそも通販事業は、 取扱サロンの顧客数と売上げの拡大を主目的としているため、 むしろ喜ばれている。 各女性の美容意識が高まったとはいえ、 エステサロンはいまだに敷居の高いイメージを持たれており、 なかなか市場拡大が難しい分野である。 TVCM放映のきっかけも、 全国各地で2カ月に1回開催しているオーナー会議にある。 会議では 「サロンが販売しやすいようなPRをしてもらいたい」 という声が非常に多かった。 

――では、 転機はTVCMということに。 

奥迫 正確には、 TVCMを作れるほど紹介したい商品が完成したことだろう。 強い抗菌作用が確認できた沖縄海洋深層水 「アルファグリックス」 を開発し、 01年にそれを配合した 「アクアヴィーナス」 シリーズを発売した。 また、 03年に発売した 「ドクターリセラ」 シリーズも事業拡大の転機と言える。 化粧品メーカーとしては後発なので、 通常のものでは勝負できない。 肌への結果にこだわった化粧品の開発に成功したことで、 その評判がサロンユーザーのクチコミを通して徐々にではあるが確実に広まっていった。 「ドクターリセラ」 シリーズを発売した年には、 4人で創業した社員も40名、 売上げも15億円まで拡大した。 

その一方で、 社員の増加により、 社内体制の見直しと組織づくりの必要性が出てきた。 広告宣伝も控えて、 売上維持・向上と社員の質を高める教育に、 丸2年間費やした。 それまでは直営のアンテナサロンも積極的に出店してきたが、 2~3年は成長を敢えて抑えて、 社内体制の改善を図った。 この2年間がなければ、 現在の成長はなかった。 

――社内体制の見直し後、 07年に通販への本格参入を果たしたがその反響は。 

奥迫 TVCMの効果もあり、 当社への問い合わせは一気に増えた。 そのほとんどが、 「サンプルが欲しい」 もしくは 「どこで購入できるか」 というもの。 専売品なので、 サンプルは用意していない。 近郊のお店を紹介することで対応してきた。 

しかし、 その反響で売上増につながったサロンが、 ほとんどないことが明らかになった。 原因を調査してみると、 紹介した店舗へ実際に訪れた女性は1000人中、 たったの2人という信じがたい結果であった。 路面店ではなく、 上階にサロンを構えていることも敷居を高めている要因の一つでもあると思うが、 とにかく紹介したお客様が行かない。 これには頭を抱えた。 

――そこで、 顧客の獲りこぼし対策を構築した。 

奥迫 顧客の獲りこぼしがないよう、 「ダイヤルエステ」 を開発した。 「その時に商品を販売してしまおう」 というのが元々の発想で、 端的に言うと、 当社にあった問い合わせで受注し、 近隣のサロンで受け渡すシステムである。 しかしこれでも問題が生じた。 「エステに通う前に、 まずは使用してみたい」 という問い合わせの急増である。 そこで、 専売シリーズ 「ドクターリセラADS」 と同じ効果が期待できるダイレクト販売品を1アイテム投入した。 

――現状で貴社の看板アイテムといえる商品は何か。 

奥迫 TVCMで人気に火がついた美白クリーム 「スーパーホワイト」 だ。 CM投入前は、 購入者に近隣のサロンリストを同封してきたが、 電話で紹介してもいかないものを、 同封するだけで来店するはずがなかった。 「ダイヤルエステ」 も導入当初はうまく機能しなかったが、 クチコミやTVCMの効果で、 2005年度に15億円だった売上高は、 2009年度には30億円にまで拡大した。 当期の売上高約34億円のうち、 通販事業は昨期の2倍となる約10億円まで拡大した。 「ダイヤルエステ」 はシナジー効果を生んでいる。 

―― 「ダイヤルエステ」 の成果は。 

奥迫 当社が電話受注や発送を代行することで、 購入者は取り扱う近所のサロンへの来店目的ができる。 サロン側は、 クーポン雑誌やチラシなど宣伝・広告費や在庫管理費などの諸経費をかけずに来店率の上昇が図れる。 

――昨年は自社コールセンターを開設し、 通販事業の強化を図った。 

奥迫 故郷でもある島根県江津市にコールセンターを開設した。 「ダイヤルエステ」 は通販事業の拡大に比例して、 サロンの売上げが上がる。 コールセンターを自社で運営することで、 その連動性はさらに高まる。 現在、 常時9名体制で展開しており、 イン/アウトバウンドどちらにも対応できる。 故郷への恩返しとして地域貢献にもなれば嬉しい。 5年後は40億円、 将来的には100億円事業へと通販売上げの拡大を目指したい。 

2010年04月22日 14:15