
サプリメント市場は拡大を続けており、新商品の開発も活発に行われています。
市場調査を行い、売れ筋商品を分析し、OEMと相談しながら配合設計を進める。トレンド成分を採用し、価格も競争力のある水準に設定する。パッケージデザインも整え、販売準備を進める。
こうしたプロセスを経て開発された商品は、一見すると十分に成功の条件を満たしているように見えます。
しかし実際には、発売後に思うような結果が出ないケースも少なくありません。
初回販売は一定数動くものの、その後のリピートが伸びず、広告効率が徐々に低下していく。結果として在庫が残り、販売戦略の見直しを迫られる――こうした状況は珍しいものではありません。
こうした事例を分析すると、商品企画の段階で共通するいくつかのパターンが見えてきます。
それが、サプリメント開発において必ず失敗につながりやすい企画パターンです。
① トレンド成分を“足し算”する企画
サプリメント開発では、話題性のある原料を採用することが重要な要素になります。
しかし、トレンド成分を単純に追加していく設計は、結果として市場に既に存在する商品と似た構成になりやすくなります。
同じ原料を採用した商品が多数存在する場合、差別化は難しくなり、最終的には価格や広告量による競争に陥る可能性が高くなります。
② ターゲット設定が曖昧な企画
「30代女性向け」
「健康意識の高い層向け」
こうしたターゲット設定は一見適切に見えますが、商品設計の軸を曖昧にする要因にもなります。
例えば同じ30代女性でも、
・朝の疲労感に悩む層
・美容意識の高いインナーケア層
・ホルモンバランスを意識し始める層
では、求める機能は大きく異なります。
ターゲットの課題が具体化されていない場合、商品のコンセプトや訴求ポイントもぼやけやすくなります。
③ 体感性を考慮していない企画
サプリメントは医薬品とは異なり、効果が即時に明確に現れるものではありません。
しかし、継続率を左右する重要な要素として「体感」があります。
消費者はエビデンスや配合量だけで継続を判断するのではなく、飲用後の変化や実感を通じて商品価値を評価します。
そのため、
・飲用初期に感じる変化
・1〜2週間程度での実感
・長期摂取による納得感
といった体感の時間軸を意識した設計が重要になります。
ヒット商品は、企画の順序が異なる
売れない商品は、成分から企画を組み立てる傾向があります。
一方でヒット商品は、まず「誰のどの課題を解決するのか」を定義し、その実現のために成分を選択します。
ターゲット課題を明確にし、体感の時間軸を設計し、その実現手段として配合を決定する。
この順序が、商品を“似た商品”から“選ばれる商品”へと変える重要なポイントになります。
サプリメント市場には、優れた原料が数多く存在します。
しかし、それだけではヒット商品は生まれません。
商品企画の段階で「必ず失敗する企画パターン」を避けること。
それが、成功するサプリメント開発の第一歩と言えるでしょう。
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< 取材協力 >
日本サプリメント協会 商品企画・開発研究部会 統括
橘 健司
プロフィール
京都大学院修了後、20年以上にわたりOEM・メーカーの立場でサプリメントの企画・開発に携わり、クライアントPBを含めた500ブランド以上のサプリメントを世に送り出した。
特にクライアントPBについては、配合成分や形態の提案だけでなく、商品の設計、販促表現、知的財産戦略等の提案を行い、クライアントのニーズに対して的確なアンサーを提示し、多数の商品が有名ブランドに上り詰めた。
カテゴリは、特定保健用食品、機能性表示食品、栄養機能食品、一般健康食品の開発経験を網羅し、形態は顆粒、錠剤、カプセル、ドリンク、グミ、焼き菓子等多岐に渡る。
食品保健指導士、食生活アドバイザーの資格を持ち、取得特許も多数持ち、現在、多数の企業の企画開発を支援している。



