「水道水における放射性物質対策検討会」の第3回会合が2011年6月13日、都内で行われた。今回は、過去2回の議論を踏まえ、中間取りまとめが行われた。
取りまとめ案には「水道水中の放射性物質対策の実施状況」、「水道水への影響メカニズム」、「水道水中の放射性物質の低減方策」などについて、現時点での知見を集約した内容が、盛り込まれた。
福島原発事後処理は依然、予断を許さない状況にあるものの、現状では放射性物質の放出量は減少しており、今後の取り組みにおいては、段階的に緊急モードからスイッチし、より現実的で効果的な方策へと移行することも確認された。
具体的には、放射性物質の検出リスクが同じ傾向にあると考えられる流域単位での水道水のモニタリング実施、緊急時適用の現行の指標の許容可能なリスクを考慮した上での検討、放射性物質の流出解析モデル活用によるシミュレーションの実施、などが提案された。
また、検討会は「水道水」に限定したテーマだが、あらゆる分野に通じることでもあり、今後、下水道や農業用水などへの応用も視野に入れ、関連各分野とのネットワークの強化、情報共有などをシステム化していく必要性も課題として挙げられた。
中間報告は、今後さらに関係行政機関の動向を踏まえつつ、新たな科学的知見を集積した上で、取りまとめられる。
浅見真理 国立保健医療科学院生活環境研究部水管理研究分野上席主任研究官
大原利眞 国立環境研究所アジア自然共生研究グループ広域大気モデリング研究室長
欅田尚樹 国立保健医療科学院生活環境研究部長
朝長万左男 日本赤十字社長崎原爆病院長
古米弘明 東京大学大学院工学研究科教授
眞柄泰基 トキワ松学園理事長<座長>
桝本和義 高エネルギー加速器研究機構放射線科学センター放射線管理室室長
森口祐一 東京大学大学院工学研究科教授