消費者庁は、2014年12月10日、「健康被害発生後も継続利用を勧められる美容・健康商品等」の詳細を公表しました。健康食品、化粧品、健康器具※1、美容エステ等の、美容・健康等に関する機能性をうたった商品・サービス等(以下「美容・健康商品等」とする。)を利用した際に、場合によって、湿疹・かゆみといった皮膚障害、下痢・胃痛のような消化器障害、だるさや頭痛等の健康被害が発生することがあります。こうした症状が体に現れた際に、美容・健康商品等の利用を継続すると症状が大幅に悪化するおそれがあります。
一方で、美容・健康商品等の販売・役務提供を行う事業者等が、「症状が発生するのは好転反応」、「今は毒素が抜けているところ」等と説明して、症状発生後も継続利用を勧めているケースがあります。このような健康被害とその対処に関する相談が事故情報データバンク※2に 339 件寄せられており、そのうち消費者が実際に利用を継続して症状が持続・悪化したという消費者事故等の情報が、100 件※3を占めます。今後も、同種又は類似の消費者事故等が発生するおそれがあるため、消費者安全法第 38 条第1項の規定に基づき、消費者に注意喚起します。美容・健康商品等の利用後に、健康被害が発生した際には、商品・サービス等の利用を一旦中止し、医師に相談しましょう。たとえ事業者等から、「その症状は好転反応」、「毒素が抜けているところ」等と継続利用を勧められても、安易に従うのは危険です。
※1 今回、健康器具として分類した商品の中には、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律に基づく医療機器に相当する機器も含まれていると考えられるが、相談情報から医療機器か否かは区別できない。※2 「事故情報データバンク」は、消費者庁が独立行政法人国民生活センターと連携し、関係機関から「事故情報」及び「危険情報」を広く収集し、事故防止に役立てるためのデータ収集・提供システムである(平成 22 年4月運用開始)。※3 いずれも消費生活相談として、消費者から申出があった情報であり、消費者庁として事故の原因等について確認したものではない(データは平成 26 年 10 月末日までの登録分)。
1.消費者事故等の情報
(1)消費者事故等の情報の概要
消費者庁には、美容・健康商品等により健康被害が発生した後も、継続利用を勧められ、実際に継続利用したところ、症状が持続・悪化したという消費者事故等の情報が 100件寄せられています。
(継続利用を勧める典型的な例)
・「症状が発生するのは、好転反応(回復に向かう過程の一時的現象)なので、我慢し
てください。乗り越えれば良くなります」
・「今悪いものが出ているので、そのまま飲み続けるように」
・「それは毒が出ている証拠です」
いずれも、美容・健康等に関する機能性をうたう商品を販売する事業者等、又は役務を提供する事業者等が、消費者に対して、美容・健康商品等の利用に伴う症状に関し、継続利用を促す説明です。また、このうち、96 件は、実際に健康被害の症状が現れた後に、事業者等から継続利用を勧められたものであり、4件は、実際に健康被害の症状が現れる前から「仮に症状が発生しても継続利用するように」と促されたものです。このように継続利用を促すことは、当該事業者等が、販売や役務提供に関連して実施するものであり、健康被害の症状が持続・悪化した場合、当該販売や役務提供の消費安全性を欠いていることが疑われます。(ただし、いずれも消費者からの相談情報であり、消費者庁として、美容・健康商品等と症状の因果関係を確認したものではありません。)「好転反応」という用語は、日本医学会が監修している医学用語辞典に記載はありません。
(2)消費者事故等の件数
美容・健康商品等を利用後に健康被害が出た際に、事業者等から「好転反応」等と称して継続利用を勧められたという事例が、平成 21 年4月以降、平成 26 年 10 月末日までに、事故情報データバンクに 339 件寄せられています。そのうち、半数以上は、症状が出たので不安になり利用を中止したり、消費生活センター等にどうしたら良いか相談しています。しかし、事業者等の言葉をそのまま信じて利用を継続し、症状が治まらない、悪化したといった事例も 100 件発生しています。
(3)消費者事故等の内訳
健康被害発生後に継続利用を勧められた例と、そのうち継続利用し症状が持続・悪化した例を、商品・役務別にみると以下のとおり。商品等の購入経路を見ると、知人等から購入、無料体験会等の後に購入、美容エステサービスを受けた際に購入等の例が多く見られます。
(4)消費者事故等の事例
【事例1】
化粧品を購入し、使用していたら、ニキビが出たり、痒みや痛みも出てきた。販売員に症状を訴えたが、「大丈夫、良い化粧品だからニキビが出る。今はデトックス効果で悪いものがでている」等言われ、信用して使い続けた。しかし症状が改善されず、医師の診察を受けたら、化粧品負けが原因と言われ、薬を処方された。 (事故発生年月:平成 25 年 11 月、20 歳代女性)
3.消費者の皆様へ
(1)新しく美容・健康商品等を利用する際は体調変化に注意し、健康被害が発生した場合は利用を一旦中止して、医師に相談しましょう。新しく美容・健康商品等を利用した際に不快な症状が発生した場合、当該商品やサービスによる健康被害を疑いましょう。また、原因不明の症状が出た場合は、それら美容・健康商品等の利用を一旦中止して医師に相談しましょう。
(2)健康被害が出ている際は事業者等の「好転反応」、「毒素が出ている」等の説明をうのみにしない。これらの説明を事業者等が行う場合は、利用を継続させるためのセールストークである場合もあります。症状が出ている際は事業者等の説明をうのみにしてはいけません。 美容・健康商品等と関連のない身近な人、消費者センターや医師に早めに相談しましょう。
※詳細は下記URL(またはPDF)をご参照ください。
◎消費者庁 2014年12月10日発表
http://www.caa.go.jp/safety/pdf/141210kouhyou_1.pdf
◎消費者庁
http://www.caa.go.jp/