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泡形状を立体的に造作するノズルを開発/花王

花王株式会社 包装容器開発研究所は、これまでのボディや手洗い等、身体洗浄剤のポンプフォーマー容器の開発技術を通して、泡形状を立体的に造作するノズルを開発しました。その結果、出てくる泡形状を今まで以上に自在にコントロールすることが可能となり、多様な泡の造形を楽しむことができる可能性が見えてきました。

身体洗浄液を泡の形状で提供することは、肌上に拡げやすい、すすぎやすい、すすぎに要する水量が少なく環境にやさしい、などの幾多の特長があげられます。

それぞれの製品に合った泡を造り出すためには、1)洗浄液(剤)を構成する成分や配合量を適切にコントロールして製品(泡)の性能を決める、2)泡粒一つひとつの粒径や気液比を商品に合わせて調整し、触れたときの感触をよくする等、発泡機構をコントロールすること、が重要です。

そして、これら2点のアプローチに加え、今回、ポンプの突出口である“ノズル”を適切な形状に設計することで、変化のある立体的な泡形状を造作できることがわかりました。
今回造作する泡は、気液比、泡吐出量を自在に変更できる電動ディスペンサーを用いるもので、その際のノズルの特長に関するご報告です。

■多様な泡形状をつくり出すノズルの開発
今回ご紹介するノズルによって、たとえば、花であるとか動物であるとか、また、ハート型のマークやロケットといった、さまざまな泡造作物を作成することが可能です。3Dと呼ぶのは、泡が吐出する、これまでの単純なノズル形状とは異なり、泡の流路、流動性や剤の性質までを考慮した結果、より立体的で細かな造作泡を作成できることから、そのように名付けました。

泡は、細い隙間を通るほど早く流れ、また、他の流路から出た泡と合体することで別の動き方をします。単に目標形状を縮小してノズルを制作しても、これまでは、実際に想定するような泡形状作成には至りませんでした。そのとき解決のヒントになったのが、“泡の性質を深く知ること”と“異業種の技に学ぶこと”でした。泡を詳しく調べてみると、早く流れているとよく流れるが、遅いと途端に流れにくくなる性質があることがわかってきました。

この性質をうまく利用し、思った目的の位置に泡を形成できるようになりました。また、異業種の技とはケーキのデコレーションの技です。クリームを用いたケーキのデコレーションは絞り口の種類やパレットナイフの交え方で平面、波形、花、人形といったさまざまなクリーム形状に変化をつくることができることから、ノズルの形状設計への適用を試しました。

ノズルに高い直線状の壁を設けることで泡が高さを保ったままノズルから離れるようになり、或いはまた、吐出部の片側を削ることで泡を吐出する方向をコントロールすることができたり、さらには、泡の奥行き感を出すために、ノズルそのものに高低差をつけるなど、試行錯誤を重ねた結果、思い通りの泡形状を造作することができるようになりました。

なお、ノズルの作成には、昨今急速に開発が進んでいる「3Dプリンター」の存在は欠かせませんでした。パソコン上で自由にノズル形状をデザインし、それをすぐに正確に具現化することができます。

また、ハンドソープやヘアカラー、食器洗い洗剤など、泡の特性を要素とするそれぞれの用途に応じた製品開発にたずさわる自社研究担当者との情報交換の機会も、大きな役割を果たしました。

■本技術を用いた泡造作物のご紹介
以上の検討の成果の一部をご紹介します。(造形には『ビオレu泡ハンドソープ』を使用)
まずは、紋章をかたどったデザインです。正面から見て、泡が出てくる穴の形状は同一なのですが、ノズル高さを変化させることで全く異なる泡形状をつくりだすことを可能にしています。ノズル形状が泡造作物に大きく関係することがわかる様子を以下に示します。

つづいて、さまざまなデザインに応用した事例です。各モチーフの特徴にあわせて、ノズル高さ以外にも部分的に穴から出る泡の量やスピード、ノズルと泡の接触面積等をコントロールして泡で表現した作品の例です。

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【詳細は下記URLをご参照ください】
花王株式会社   2018年6月7日発表
花王株式会社   ホームページ

 

2018年06月07日 16:58

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