
米国疾病管理予防センター(CDC)インフルエンザ予防部門責任者のJoseph Bresee博士によれば、米国では今年(2009年)、オセルタミビルに耐性を持つインフルエンザウイルス(H1N1)の比率が、昨年(2008年)の 約10%からH1N1株全体に増加したという。CDCでは2週間前に発行した新たなガイドラインで、医師にインフルエンザが疑われる症例に検査を実施し、 A型かB型かを確認し、A型であればH1かH3かを確認することを促している。
Bresee氏は「大騒ぎするつもりはなく、現在は観察中である。現在広まっている最も多いインフルエンザは耐性株だが、時期が早く、症例数も少な い。症例数が増えれば、別のウイルスが一般的になる可能性もある」と説明。オセルタミビルの代替としてザナミビル(商品名:リレンザ)や rimantadineリマンダジン(Flumadine、日本国内では未承認)を挙げ、さらに「広まっているインフルエンザウイルス株はどれもインフル エンザワクチンで予防可能。今から予防接種を受けても遅くない」としている。
米ニューヨーク州立大学ダウンステートDownstateメディカルセンターのPascal James Imperato博士は、オセルタミビル耐性は他国で上気道感染症の治療に使用されたために発現したと考えている。同氏は「オセルタミビルは世界各地で、 上気道感染症に対してかなり使用されており、H1N1ウイルスの軽微な変異がオセルタミビルの作用を阻害すると考えられる」と述べている。
米国では、インフルエンザにより毎年約3万6,000人が死亡し、その大多数が高齢者か乳幼児、または喘息や心疾患などの症状のある人である。インフルエンザによる肺炎は通常、致死的な合併症となる。(HealthDay News 1月8日)
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