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体に良いとうたうゲルマニウム使用のブレスレット

体に良いとうたうゲルマニウム使用のブレスレット

ゲルマニウムは物質的特性が金属と非金属の中間に位置する亜金属であり、半導体の性質を示す物質である。市場には、高純度のゲルマニウムを使用していることをうたい、「こりの緩和」や「血行の改善」など、健康に対する何らかの効果をイメージさせるブレスレットが数多く販売されている。

PIO-NET(全国消費生活情報ネットワーク・システム)には、ゲルマニウムを使用したアクセサリーについての相談が2004年度からの5年間で2,309件(注)寄せられており、うち55%(1,267件)はブレスレットに関する相談であった。また、18%(412件)は「効果がない」、「効果があるか疑問」、「ゲルマニウム含有量が知りたい」等の「品質・機能」に関する相談であった。また、ゲルマニウムを使用したアクセサリーによって「皮膚がかぶれた」「赤くなった」等の皮膚障害が起きたという事例も59件寄せられていた。

そこで、高純度のゲルマニウムを使用した旨の表示があり、体に良いとイメージさせる販売価格15,000円未満のゲルマニウムブレスレット12銘柄を対象に、ゲルマニウムの含有量の他、長時間・長期間装用した場合に接触皮膚炎の原因物質となることがある金属や鉛等の溶出がないか等について調べた。また、表示されたうたい文句に関する科学的根拠の調査も併せて行い、消費者に情報提供することとした。

(注)2004年度以降受付、2009年4月30日までの登録分。件数は本調査のため特別に事例を精査したもの。

主な調査結果等

1.ゲルマニウム含有量

ベルト部分からはゲルマニウムは検出されず、12銘柄中8銘柄は黒色又は金属の粒部分にもゲルマニウムが微量しか含まれていなかった。うち1銘柄はゲルマニウムが検出されなかった。

2.ベルトの材質

5,000円未満のほとんどの銘柄はベルト部分の主成分が鉄であり、汗が付いたまま放置すると錆が発生してしまうものもあった。

3.接触皮膚炎の原因となる金属等の溶出

接触皮膚炎の発症頻度が高い金属の汗による溶出量を調べたところ、EUの指針値を超える量のニッケルが溶出する銘柄はなかった。

4.ゲルマニウムの効果等に関する表示調査

高純度のゲルマニウムを使用しているという表示で、ごくわずかな量しかゲルマニウムが含まれていない銘柄が8銘柄あった。8銘柄中6銘柄には、10名中8名以上のモニターがゲルマニウム含有量が多いと回答し、誤認を招くおそれがある表示・広告があった。

商品として効能・効果があると受け取れ、薬事法に抵触するおそれがあるインターネット上の広告がみられた。

全ての銘柄に、ゲルマニウムが健康に対する何らかの効果を示す旨の表示がみられたが、独立行政法人科学技術振興機構の科学技術文献データベースで検索したところ、科学的根拠を示す文献は確認できなかった。

5.ゲルマニウムの効果に関する事業者へのアンケート調査

ゲルマニウムのヒトに対する効果について、製造者又は販売者名が記載されていた5社に対してアンケート調査を行ったところ、回答があった2社中1社は根拠となる資料を所有していなかった。

インターネット通信販売業者の多くはゲルマニウムのヒトに対する効果についての科学的根拠を有しておらず、メーカーや仕入れ業者から入手した資料を基に表示を行っていた。

消費者へのアドバイス

テスト対象銘柄に表示されていたゲルマニウムの健康への効果は、文献調査及び製造・販売業者に対するアンケート調査を実施したところ、根拠となる科学的データが確認できなかった。ゲルマニウムブレスレットを購入する人は健康への効果を期待すべきではない。

業界への要望

ゲルマニウムのヒトに対する効果に関する表示について、明確な科学的根拠がなければ表示を取りやめるよう要望する。

インターネット上の広告について、薬事法に抵触するおそれがある表現がみられたため、改善を要望する。

ブレスレットは体に身に付けて使用する商品であることから、錆の生じにくい素材を使用するよう、要望する。

行政への要望

ゲルマニウムの健康への効果について、科学的根拠を示す文献が確認できなかった。景品表示法上問題があるおそれがあるため、監視・指導の徹底を要望する。

インターネット上の広告について、薬事法に抵触するおそれがある表現がみられたため、指導の徹底を要望する。

要望先

公正取引委員会事務総局 取引部 消費者取引課 景品表示監視室

厚生労働省 医薬食品局 監視指導・麻薬対策課

社団法人 日本通信販売協会

情報提供先

内閣府 国民生活局 総務課 国民生活情報室

厚生労働省 医薬食品局 審査管理課 医療機器審査管理室

社団法人日本ホームヘルス機器協会

社団法人日本ジュエリー協会

本件連絡先 商品テスト部

電話 042-758-3165

 

報告書(PDF) [詳細情報(475KB)

 

 

2009年06月26日 20:56