2010年4月21日:公表
*詳細な内容につきましては、本ページの最後にある「報告書本文(PDF)」をご覧下さい。
「温泉」とは、地中からゆう出する温水、鉱水及び水蒸気その他のガス(炭化水素を主成分とする天然ガスを除く。)で、温泉源から採取されるときの温度が摂氏25 ℃以上又は特定の物質のうち一つについて、規定の含有量を有するものと温泉法で定義されており、そのうち地中からゆう出する水蒸気及びその他のガスを除く「鉱泉」で、特に治療を目的に供しうるものを療養泉としている。
一方、インターネットの通信販売サイト等には家庭の浴槽の湯に鉱石やセラミック製のボール等を浸漬することによってラドン温泉やラジウム温泉になる等とうたって販売されている商品が見受けられる。
PIO-NET(全国消費生活情報ネットワーク・システム)には2004年度から2010年2月末までに、浴室で使用するラドン・ラジウム関連製品に関する相談が387件、そのうち「お風呂に入れてラドンを発生させる箱入りの石を購入したが、効果が分からず、本当にラドンが出ているのかも疑わしい」、「お風呂の中に入れるとラジウムが出て健康効果があるという。安全なものか」といった品質や安全性に関するものが71件あった。
そこで、このような商品を使用することによって風呂水にどの程度のラドンやラジウムが含まれるようになるのか等を調べ、消費者に情報提供することとした。
テストの対象銘柄は、鉱石タイプ5銘柄、セラミックボールタイプ3銘柄、それらの混合タイプ2銘柄。
主なテスト結果
ラドン、ラジウム濃度等
(1)風呂水のラドン濃度
各銘柄を使用したときの風呂水のラドン濃度を調べたところ、全ての銘柄で温泉法の基準を大きく下回った。
(2)風呂水のラジウム濃度
風呂水のラジウム濃度は全ての銘柄で検出できないほど低く、温泉法の基準を大きく下回った。
(3)外部被ばく線量
1日1時間・1年間直近で使用した場合でも、全ての銘柄で一般公衆の1年間の線量限度には達しなかった。
販売サイトの広告と商品の表示
(1)「温泉になる」旨の表示
購入サイトには「ラドン温泉になる」等の広告があったが、商品のパッケージ等に同様な表示がみられたのは10銘柄中5銘柄であった。
(2)効能効果に関する表示
疾病の治療等の効能効果をうたった広告・表示が10銘柄中6銘柄にみられた。
消費者へのアドバイス
風呂に入れるだけで「ラドン(ラジウム)温泉になる」とうたって販売されている商品は、温泉の定義から外れるもので、使用した風呂水のラドン・ラジウム濃度も温泉法の基準には大きく及ばないものである。
実使用を想定して商品から受ける外部被ばく線量を調べたところ、1日1時間・1年間直近で使用したとしても、ほぼ問題のないレベルであった。
業界への要望
風呂に入れるだけで「ラドン(ラジウム)温泉になる」とうたって販売されていたが、「温泉になる」旨の広告・表示が不適切である上、商品を使用した風呂水のラドン・ラジウムの濃度も温泉法の基準に大きく及ばないものであり、疾病の治療効果をうたった広告・表示も見受けられたため改善を要望する。
行政への要望
風呂に入れるだけで「ラドン(ラジウム)温泉になる」とうたって販売されていたが、「温泉になる」旨の広告・表示が不適切である上、商品を使用した風呂水のラドン・ラジウム濃度も温泉法の基準に大きく及ばないものであり、景品表示法上問題となるおそれがあるため、監視・指導の徹底を要望する。
商品を使用することによって、疾病の治療効果などの効能効果がある旨の広告や表示をしている商品があり、薬事法上問題となるおそれがあるため、監視・指導の徹底を要望する。
要望先
消費者庁 消費者情報課 地方協力室
社団法人日本通信販売協会
情報提供先
厚生労働省 医薬食品局 監視指導・麻薬対策課
環境省 自然環境局 自然環境整備担当参事官室
社団法人日本広告審査機構
本件連絡先 商品テスト部
電話 042-758-3165
[報告書本文(PDF)] 風呂に入れるだけでラドン・ラジウム温泉になるとうたった商品(378KB)