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乳たんぱく質10g摂取が中高年者の身体や栄養状態改善に役立つ可能性/森永乳業

たんぱく質は五大栄養素の 1 つで、筋肉はもちろん、骨や臓器、血液などを形作る、人間にとって非常に重要な栄養素です。また、体内のたんぱく質は日々合成と分解を繰り返していることから、活発な新陳代謝のためにも継続的な摂取が必要な栄養素です。森永乳業は、牛乳乳製品の栄養成分のうち、特にたんぱく質の機能について着目し、乳たんぱく質の継続摂取が、中高年者の疲労や活気などにおける体感や身体における栄養状態の改善に役立つ可能性があることを見出しました。なお、本研究結果の一部は、本年3月に岡山市で開催されました「日本農芸化学会」で発表しました。

■背景■
近年、少食や偏食等による栄養素の摂取不足に起因し、食事はしっかり摂っているつもりでも、たんぱく質やエネルギーが慢性的に不足し、「新型栄養失調」に陥るケースがあることが指摘されています。特にたんぱく質の摂取不足は、筋肉や筋力の低下につながり、その結果として、転倒・骨折のリスクや健康寿命にも影響することが指摘されています。そのため、中年期から良質なたんぱく質を継続的に摂取し、加齢に伴う筋肉・筋力の低下を予防することが重要となります。また、乳たんぱく質は、アミノ酸スコアなどの栄養価や消化吸収性に優れており、良質なたんぱく質として知られています。そこで森永乳業では、40 歳~74 歳の中高年者を対象として、通常の食事に加えて 1 日 10g の乳たんぱく質を摂取した場合の身体における栄養状態への影響等を探索的に評価致しました。なお、これまでに、高齢者及び中高年者を対象に運動負荷の条件下でのたんぱく質付加の影響が評価・報告された例はいくつかありますが、たんぱく質付加単独の効果に関して中高年者を対象に検討されたことはほとんどありません。

■調査研究【1】 身体の栄養状態に及ぼす影響 ■
(1)研究方法
低栄養の可能性がある、血清アルブミン値 1)が 3.8~4.4g/dl の中高年者 31 名(年齢 53.5±9.4、男性16 名・女性 15 名)を対象にランダム化並行群間比較試験を実施しました(被験者には、試験内容の説明を十分に行い、文書による同意を得た上で参加を依頼しました)。被験者を乳たんぱく質 10g を含有する飲料(容量 125ml/本)を摂取する群(たんぱく質群、16 名)と、たんぱく質を含有しない飲料(同)を摂取する群(対照群、15 名)にランダムに割付け、1 日 1 本を 12 週間摂取してもらいました。試験期間前後で血液検査と食事調査を、4 週毎に体組成測定(インピーダンス法)を実施しました。
(2)研究結果
血清アルブミン値が 3.8~4.4g/dlの中高年者において、食事の質が低めのグループ(一日あたりの栄養摂取量や食事多様性得点 2)が中央値未満のグループ)では、たんぱく質群でのみ、栄養状態の指標である血清プ レ アルブ ミ ン値 3)の有意 な上昇が認め られ ま した
(図 1 群間差: [左] 3.26 mg/dl、p=0.017[右]2.64mg/dl、p=0.025)。

このことから、食事の質が低めの方では、乳たんぱく質 10gを継続摂取することで、血液中のたんぱく質栄養の指標であるプレアルブミンが増加し、中高年者のたんぱく質栄養状態が改善されることが示唆されました。

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■調査研究【2】 体感に与える効果■
(1)調査方法
40 歳~74 歳の中高年者 76 名を、乳たんぱく質 10g を含有する飲料(容量 125ml)を摂取する群(たんぱく質群、40 名)と、たんぱく質を含有しない飲料(同)を摂取する群(対照群、36 名)にランダムに割付け、1 日1 本を 12 週間摂取してもらいました。12 週間の摂取後に改善したと思われる体感についてアンケート調査を行いました。
(2)調査結果
たんぱく質群と対照群を比較したところ、たんぱく質群は、対照群に比べて、全身のだるさ、全体的な活気
度、日常生活での疲れやすさ、疲労感などの回復、運動した翌朝の疲れの度合いといった体感に関する指標について、改善したと回答される方の割合が多いことが分かりました(図 2)。このことから、乳たんぱく質 10g を継続摂取することで、中高年者の疲労や活気などの体感が改善されることが示唆されました。以上、2 つの研究結果から、乳たんぱく質 10g の継続摂取が中高年者の疲労や活気などの体感を高め、新型栄養失調など近年の中高年者が陥りやすい低栄養状態の改善に寄与できる可能性が示唆されました。森永乳業では、今後も乳たんぱく質の摂取による身体における栄養状態の改善に関する研究を進めるとともに、乳たんぱく質を手軽に効率的に摂取しやすい商品の開発を進めてまいります。

■用語説明■
1)アルブミン
肝臓で合成され、血液中の総たんぱくの約 60%を占める主要なたんぱく成分。血液(血清)中の濃度の基準値は 3.8~5.2g/dl(エスアールエル総合検査案内より)。血清アルブミン値は、栄養状態を評価(栄養が不足していないかを判断)する指標として医療現場等で広く利用されている。 半分の量が新しく置き換わるまでの期間(半減期)が約 3 週間と長いため、比較的長期間の栄養状態を反映する指標として用いられることが多い。
2)食事多様性得点
主菜、副菜を構成するものとして選ばれた10の食品群(肉類、魚介類、卵、牛乳、大豆・大豆製品、緑黄色野菜、果物、芋類、海藻類、油脂類)の摂取頻度を点数化したもの。各食品群について、「ほぼ毎日食べる」を 1 点、「2 日に 1 回食べる」および「ほとんど食べない」を 0 点として合計点数を求め、食事多様性得点とした。(参考:熊谷修.臨床栄養 2014;124:305-311)
3)プレアルブミン
主に肝臓で合成されるたんぱく成分の一つ。血液中のプレアルブミンは、レチノール(ビタミン A)の運搬に重要な役割を果たしており、別名トランスサイレチンとも呼ばれる。血液(血清)中の濃度の基準値は22.0~40.0mg/dl(エスアールエル総合検査案内より)。血清プレアルブミン値は、血清アルブミン値とともにたんぱく質の栄養状態を評価する指標として利用されるが、プレアルブミンの半減期は短いため(約2 日)短期間での栄養状態変化の評価に適している。

※詳細は下記URLをご参照下さい
◎森永乳業株式会社 2015年9月9日発表
https://news.e-expo.net/pdf/2015/20150909_morinaga.pdf

◎森永乳業株式会社 公式サイト
http://www.morinagamilk.co.jp/

2015年09月09日 19:33

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