マクセル株式会社は、経皮投薬や連続血糖値モニターなどに用いられる医療・ヘルスケアパッチに適し、安全性・環境負荷に配慮したフレキシブルなディスポーザブル電池「Air PatchTM *1Battery(エアーパッチバッテリー)」を開発しました。
この電池は、IoT やウェアラブル機器向けコイン形電池、ボタン形電池、小型ラミネート電池などで培った材料技術および製造技術に、新たに安全設計技術を融合し、発展させたものです。
マクセルは今後、「Air Patch TM Battery」を医療・ヘルスケア市場に提案していきます。世界の医療機器市場の売上高*2は、2015年3,710億ドルであり、今後年平均成長率5.2%で増加し、2030年には7,950億ドルに達すると見られています。
なかでも医療・ヘルスケアパッチ市場は、インスリン、鎮痛剤などの薬剤投与、および血糖値、心電図、体温、皮膚の状態などの生体データ取得に用途が広がりつつあり、急速な普及が見込まれます。医療・ヘルスケアパッチは、主に人体に直接に貼り付ける使用方法が主であるため、高い安全性が求められます。
現在市販されている医療・ヘルスケアパッチは、電池の材料に酸化マンガン*3、リチウム*4、水酸化カリウム*5 (強アルカリ)、有機溶剤などを含んでおり、パッチの破損等により電池内部材料が外に漏れ出た場合の人体への影響、また、廃棄した場合の環境への影響が懸念されています。マクセルが開発した「Air PatchTM Battery」は、これらの材料を使用しておらず、材料改良により従来の水溶液系電解液を用いたラミネート電池比2倍以上*6のエネルギー密度を実現していることから、医療・ヘルスケアパッチ用途として安心して長時間使用することができます。
また、外装には薄型かつフレキシブル性を持つラミネート素材を採用することで、パッチを人体に貼り付けた際に違和感の少ない装着性を実現します。「Air PatchTM Battery」は 2020 年の量産を予定しています。
なお、「COMPAMED(MEDICA と同時開催)」(2018 年11 月12 日~15 日、独デュッセルドルフメッセ)において、新光電気工業株式会社(本社:長野県長野市)が、「Air PatchTM Battery」を導入し、開発しました医療用途ウェアラブル機器(開発品)を参考出展します(8A ホール S18 ブース)。マクセルは今後も、安全性、環境負荷低減技術の向上を図り、高性能で安全性の高い電池の開発に取り組みます。
*1 Air Patch: 商標登録出願中
*2 売上高: 出典 KPMG インターナショナル 「医療機器産業の展望 2030」
*3 酸化マンガン: 化学物質排出把握管理促進法(PRTR法) 第1種指定化学物質(MnO2)
*4 リチウム(金属): 消防法第3種自然発火性物質及び禁水性物質、アルカリ金属
*5 水酸化カリウム: 毒物及び劇物取締法 劇物
*6 従来品比2倍以上: 水溶液系ラミネート電池において、2018年11月マクセル調べ
■他社商標注記
記載の会社名は、それぞれの会社の商標または登録商標です。
【詳細は下記URLをご参照ください】
・マクセル株式会社 2018年11月8日【PDF】発表(リリース)
・マクセル株式会社 ホームページ