ノエビアグループは、加齢とともに肌に蓄積する老化細胞が、周りの細胞にも影響を与え、ハリと弾力のあるふっくらとした肌に重要なコラーゲンの産生を低下させ、分解を促進させることを明らかにしました。また、北海道増毛郡の自社農場「北海道暑寒別岳パイロットファーム」で有機栽培した植物『メドウスイート』が真皮の老化細胞を選択的に除去することを発見しました。
この研究成果を 2022 年9 月10 日・11 日に開催される「日本生薬学会第 68 回年会」にて発表します。
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■ 研究背景
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◎加齢によるコラーゲンの減少と老化細胞の関係に着目
コラーゲンは肌に最も多く存在するタンパク質で、肌を支える重要なはたらきを担っています。コラーゲンの減少が加齢によりハリや弾力が低下する原因の一つと考えられています。また、通常は増殖が停止した古い細胞は除去されますが、加齢により一部の古い細胞は臓器や組織の中に蓄積されます。この細胞は正常細胞と区別して「老化細胞」と呼ばれ、「老化細胞」の蓄積がさまざまな病気の原因となることが報告されています。老化細胞を除去することで病気の治療や予防を行うセノリティクス研究が近年話題となっています。ノエビアグループは、老化細胞がコラーゲンに与える影響を研究し、老化細胞の除去によりコラーゲンを増加させる素材を探索しました。
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■ 研究成果
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1. 老化細胞はコラーゲン産生が低下し、分解酵素が上昇している細胞であることを確認
真皮線維芽細胞の継代培養※を繰り返し、老化細胞を作製しました。細胞の機能解析により、正常細胞と比べて老化細胞では、肌に最も多く存在する I 型コラーゲン産生遺伝子の発現が低下し、コラーゲン分解酵素遺伝子の発現が上昇していることを確認しました。
※継代培養:培養した細胞の一部を採取し、新たな別の培養容器に移して継続して培養する方法
2.老化細胞が正常細胞のコラーゲン産生を低下させ、分解酵素を増加させることを確認
老化細胞の培養上清※を正常細胞に添加すると、正常細胞において I 型コラーゲン産生遺伝子の発現が低下し、コラーゲン分解酵素遺伝子の発現が上昇することを確認しました。老化細胞が周りの正常細胞のコラーゲン産生を抑制し、コラーゲン分解を促進することが示唆されました。
※培養上清:細胞を培養液の中で培養した際に得られる上澄み
3.『メドウスイート』が老化細胞を選択的に除去することを発見
老化細胞を選択的に除去できる素材を探索した結果、自社農場「北海道暑寒別岳パイロットファーム」で有機栽培した『メドウスイート』が、正常細胞の生存には影響を与えずに老化細胞の生存率を低下させることを明らかにしました。『メドウスイート』には、コラーゲンを減少させる老化細胞を選択的に除去する効果が期待できます。
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■ 今後の展開
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今回の研究により、加齢による老化細胞の蓄積がコラーゲン減少の原因の一つであることが確認されました。コラーゲンは肌を支える重要なタンパク質であるため、老化細胞の蓄積はハリや弾力の低下といった肌悩みにもつながります。加齢により蓄積する老化細胞を選択的に除去することは老化予防に重要と考えられます。『メドウスイート』はコラーゲンの減少を促進させる老化細胞を選択的に除去することで、コラーゲンを増加させ、ハリと弾力のあるふっくらとした肌へ導く可能性が示されました。今後はこの研究成果を基礎化粧品の開発へ応用する予定です。
【詳細は下記URLをご参照ください】
・株式会社ノエビア 2022年9月5日【PDF】発表(ノエビアグループ)
・株式会社ノエビア 公式サイト