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嚥下食用米粉「ゼリーノ米粉」の発売について/農研機構

高齢化が進む中、飲み込むことに問題のある嚥下えんげ障害者が増加しており、病院や介護施設、在宅介護の食事提供の場面で、嚥下機能障害に配慮して飲み込みやすく調製した嚥下調整食(嚥下食)のニーズが高まっています。一方、嚥下食は普通食の調理よりも手間がかかるため、調理の簡便化が求められています。

嚥下食の主食として米は重要ですが、米飯の粒は咀嚼そしゃくを必要とし喉に残留しやすいため、そのままでは嚥下食には適しません。米を嚥下食にするためには、粥にし、さらに粘りを抑えるためのでんぷん分解酵素(1)を加えてミキサーでペースト状にしてからゲル化剤(2)を加えてゼリー状にするといった調理の手間を要します。この課題を解決するため、農研機構では、これまでに見出したアミロース(3)という成分が多い米(高アミロース米(4))から作った米粉を用いたゲル(5)調製法を活用し、調理が簡便な米嚥下食の開発に取組んできました。

農研機構と株式会社フードケア、株式会社図司穀粉は「米粉でやさしい嚥下食」研究コンソーシアムに参画し、高アミロース米粉の嚥下食への実用化研究を行い、ゲル化剤不要で粥ゼリーが調理できる「ゼリーノ米粉」を開発しました。この米粉は、滑らかなゼリーになるよう製粉方法を工夫し、さらに、高アミロース米品種を複数ブレンドすることで、ガス火と鍋による調理だけでなく、電子レンジやスチームコンベクションオーブンを用いた調理が可能です。

従来の米粉とは異なり、「ゼリーノ米粉」はゲル化剤を加えなくても嚥下食に適する物性の粥ゼリーになるため、嚥下食主食調理の負担を減らすことができると期待されます。今後、主食だけでなく、おかずやデザートなどのレシピも増やし、嚥下食用米粉の普及を進めます

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■ 関連情報
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予算等 : 本研究課題は、農林水産省が運営する産学連携研究の仕組みの「知」の集積と活用の場において組織された研究開発プラットフォームから応募された課題です。

「知」の集積と活用の場について
URL : https://www.knowledge.maff.go.jp/
(予算)生物系特定産業技術研究支援センター「イノベーション創出強化研究推進事業」JPJ007097 米粉を使用した嚥下障害者のための嚥下食の開発

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■ 用語の解説
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(1)でんぷん分解酵素
でんぷんに作用して糖に分解する酵素。粥ゼリーを作る際にはα-アミラーゼが用いられる。

(2)ゲル化剤
液体状の食品を固める目的で使用する食品添加物で、ジェランガム、寒天などの増粘多糖類やゼラチンなどが用いられる。

(3)アミロース
グルコースが重合した巨大な分子がでんぷんである。でんぷんのうち、グルコースが直鎖状に結合した成分をアミロースと呼び、枝分かれ構造を持つ成分をアミロペクチンと呼ぶ。

(4)高アミロース米
含まれるでんぷん中のアミロース含有率が25%以上の米を高アミロース米という。日本で主食として消費されている米は、その多くがアミロース含有率が15~20%程度の中アミロース米である。

(5)ゲル、ゾル
でんぷん、寒天、蛋白質などの微細なコロイド粒子が液体に分散し、流動性のある状態のものをゾルという(例:牛乳、マヨネーズ)。分散しているものがネットワークを形成して流動性を失い、固体状になったものをゲルという(例:寒天ゼリー、豆腐、プリン)。

【詳細は下記URLをご参照ください】
農研機構 2022年9月26日発表
農研機構 公式サイト
株式会社フードケア 公式サイト
株式会社図司穀粉 公式サイト

2022年09月27日 11:58

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