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ココアの摂取で記憶力・判断力機能を一時的に維持・増進することを証明/森永製菓

森永製菓株式会社では、健康機能に注目が集まる「カカオの機能性」の研究を進めています。今回、ココアを摂取すると認知機能にどのような影響が及ぶかをヒト試験において検証し、認知機能の一部である記憶力や判断力に関する機能を一時的に維持・増進することが認められました。

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■ ポイント
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・ココア 1 杯だけの摂取で、図形に関する情報を記憶することをサポートすることが示され、記憶力や判断力に関する機能を維持・増進すると考えられました。

・1 杯のココアに含まれる程度のカカオフラバノール(30 ㎎)の 1 回の摂取で、一時的に視覚記憶や反応速度が維持・増進されることが示唆されました。

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■ ご参考 ~森永製菓によるこれまでの「カカオの機能性」研究成果~
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(1)抗ピロリ菌効果 1)
(2)抗インフルエンザウイルス効果 2)
(3)抗歯周病菌効果 3)
(4)冷え性改善効果 4)
(5)便臭改善効果 5)
(6)ウォーミングアップ後の柔軟性に対する改善効果 6,7)

20~40 歳の健常な男女 15 名を対象に、カカオポリフェノールの代表であるカカオフラバノール 30 mgを含むココア、またはココアパウダーを含まずココア風味に調製した飲料(プラセボ飲料)を一杯摂取してもらい、その 30 分後に認知力を測定できるコンピュータテスト(Cognitrax)を実施しました。その結果、離脱者や PC 操作を正しく行えなかった方などを除いた7名を対象者とした統計解析の結果、視覚記憶テスト※における即時記憶の正解ヒット数、および4パート持続処理テストにおけるパート2※※の平均正解応答時間の標準スコアが、ココアを摂取したグループ(ココア群)において、プラセボ飲料を摂取したグループ(プラセボ群)と比べ統計学的に有意に高いことが分かりました(図 1)。

同内容は、学術誌「薬理と治療」(2019 年 47 巻 10 号)に査読付き論文として掲載されます 8)。今回の試験結果から、カカオフラバノール 30 mg を含むココアを一杯摂取することで、図形に関する情報を記憶することをサポートすることが示され、認知機能の一部である記憶力(図形に関する情報を記憶し思い出す力)や判断力(図形や色の情報を認識し、次の行動にうつす力)に関する機能を維持・増進すると考えられました。これまでにも、ココアやチョコレートによる認知力を維持・増進させる機能については多数の報告がありましたが、多くは長期摂取による試験や、高用量の単回摂取試験でした 9-14)。

また、健康な一般成人においてミリ秒という非常に詳細な時間で反応応答を計測できる測定系を用いて食品の機能を評価した試験はほとんどありませんでした。今回の試験では、一杯のココアに含まれる程度のカカオフラバノール(30 ㎎)の単回摂取により、一時的に視覚記憶や反応速度が維持・増進されることを期待できることが示唆されました。既報においては、カカオの認知機能向上の作用機序として、カカオの単回摂取による一時的な脳血流の増大 16)や、長期摂取による脳由来神経栄養因子の血中濃度の上昇 14)などが報告されています。

※ 視覚記憶テスト(即時記憶);最初に表示される 15 個の図形を記憶する。
その後新たな図形を含む30 個の図形の中から、記憶した 15 個の図形を即時に選び出すテストである。

※※ 4パート持続処理テスト(パート 2); 色と形について指示された図形が画面に表示されたら、できるだけ早くスペースキーを押すテストである。

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■ 参考文献
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1) 佐藤ら. Helicobacter pylori の増殖および付着 胃内定着に及ぼすココアの効果 Prog. Med. 1999; 19(5):1207-1213.

2) 亀井ら. Anti-influenza virus effects of cocoa. J Sci Food Agric. 2016; 96(4): 1150-8.

3) 前田ら. 歯科臨床研究 2007; 4(1): 98-101.

4) 亀井ら. ココアの冷え性改善効果.食の科学 2003; 2:4-13.

5) 杉山ら. カカオ由来リグニンによる便通および便臭改善の検証試験 ―無作為化二重盲検クロスオーバー試験―薬理と治療 2017; 45 (4): 653-662.

6) 今田ら. ココア摂取が高齢者におけるウォーミングアップの効果に及ぼす影響 -プラセボ対照二重盲検クロスオーバー比較試験-.薬理と治療 2018; 46 (4): 599-607.

7) 大久保ら. ココアがウォーミングアップ後の柔軟性に与える影響 -プラセボ対照二重盲検クロスオーバー比較試験- 薬理と治療 2018; 46 (4): 609-618.

8) 山本ら. ココア摂取による認知機能へ及ぼす効果 -ランダム化プラセボ対照二重盲検クロスオーバー比較試験薬理と治療 2019; 47 (10): 1655-1664.

9) Field D.T ら. Consumption of cocoa flavanols results in an acute improvement in visual and cognitive functions.Physiol. Behav. 2011; 103: 255-260.

10) Scholey A.B ら. Consumption of cocoa flavanols results in acute improvements in mood and cognitive performance during sustained mental effort. J. Psychopharmacol. 2010; 24: 1505-1514.

11) Karabay A ら. The acute effects of cocoa flavanols on temporal and spatial attention. Psychopharmacology(Berl). 2018; 235(5): 1497-1511.

12) Desideri G ら. Benefits in cognitive function, blood pressure, and insulin resistance through cocoa flavanol consumption in elderly subjects with mild cognitive impairment: The Cocoa, Cognition, and Aging (CoCoA) study. Hypertension 2012; 60: 794-801.

13) Neshatdoust S ら. High-flavonoid intake induces cognitive improvements linked to changes in serum brain-derived neurotrophic factor: Two randomised, controlled trials. Nutr. Healthy Aging 2016; 4: 81-93.

14) Decroix L ら. Acute cocoa flavanol improves cerebral oxygenation without enhancing executive function at rest or after exercise. Appl. Physiol. Nutr. Metab. 2016; 41: 1225-1232.

15) Francis ST ら. The effect of flavanol-rich cocoa on the fMRI response to a cognitive task in healthy young people. J Cardiovasc Pharmacol. 2006; 47 Suppl 2: S215-20.

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■ 実施概要
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実施時期/2019 年7月
対象者/20~40 歳の健常な男女 15 名(最終解析対象者7名)
試験飲料/カカオ分を 70%含むココアを 120 mlのお湯に溶解したもの
(カカオフラバノール 30mg 含有)
対照飲料/カカオフラバノールを含まない飲料
試験期間/単回摂取
試験方法/ランダム化プラセボ対照二重盲検クロスオーバー比較試験
試験項目/Cognitrax による認知機能スコア

【詳細は下記URLをご参照ください】
森永製菓株式会社 2019年11月7日【PDF】発表
森永製菓株式会社 ホームページ

2019年11月07日 15:46

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