血圧測定用カフを繰り返し膨張させて腕の血流を遮断することにより、心臓発作時に損傷される組織量が減少することが、デンマークの新しい研究によって示された。この処置は心筋を保護する作用を有するが、そのメカニズムはまだ解明されていないという。
重度の心臓発作治療で救急受診した患者142例を対象とした今回の研究では、誘発性虚血(induced ischemia)と呼ばれるこの治療を受けた患者は受けなかった患者に比べて、損傷しなかった心筋組織量が30%多いことが判明した。研究結果は、英医学誌「Lancet(ランセット)」2月27日号に掲載された。
今回の研究で、デンマーク、オーフスAarhus大学病院(スカイビー)心臓病学教授のHans Erik Botker博士らは、急性心筋梗塞(心臓発作)で病院に搬送された患者に対し、血圧測定用カフを5分間膨張させては弛緩させ、それを4回繰り返した。
同氏は「この初期の結果は有望と思われるが、誘発性虚血はルーチンで行われていない。梗塞(損傷した心筋))の減少による心臓保護が示されたが、これは代理マーカーであり、問題はそれが患者に対して臨床的に有益かどうかである。入院期間中は改善がみられたが、30日以上持続しなかった。この処置がうっ血性心不全や死亡の発生率を低減するかどうかを明らかにするにはさらなる研究が必要である」と述べている。
誘発性虚血の研究はほとんどが欧州で行われているが、米国ではエモリー大学(アトランタ)心臓胸部外科教授のJacob Vinten-Johansen氏らが、血管形成術と呼ばれる動脈を開存させる手技でカテーテルに装着したバルーンを膨張させて血流を遮断するというこのテーマのバリエーションに取り組んでいる。同氏は「本質的に、ごくわずかの虚血、ごくわずかの再灌流は有用である可能性がある」という。
米ニューヨークプレスビテリアン病院/コロンビアメディカルセンターのAjay J. Kirtane博士は「急性心臓発作の患者に対しては、特に単一施設試験では多くの介入が有望であることが示されているが、多施設試験で同様の効果が示されていないため、この手技には注意を要するが、それでも常に同じ治療効果がみられるならば魅力的である」と述べている。(HealthDay News 2月26日)
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