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ケルセチンを多く含むタマネギ新品種「クエルゴールド」を開発/(独)農業・食品産業技術総合研究機構

独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構は、2014年11月5日、ケルセチンを多く含む新品種のタマネギ「クエルゴールド」の開発を発表しました。

◎ポイント
・高い抗酸化能1)のあるケルセチン2)を高含有するタマネギF1品種3)「クエルゴールド」を育成しました。

・「クエルゴールド」にはケルセチンが、国内で栽培されるタマネギ品種の中では最も多く含まれている。

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◎概要
農研機構は、国内で栽培されるタマネギではケルセチンを最も多く含有する4)F1品種「クエルゴールド」を育成しました。ケルセチンは顕著な抗酸化能を示し、摂取による血圧降下作用が報告されています。 ケルセチン含有量が高いため、既存のタマネギ品種よりも効果的に摂取が可能となることから、新たな付加価値を持った農産物として需要の拡大が期待されます。

また、乾物率5)が高く、加熱加工に向いているので、加工食品原料としての利用も期待されます。
「クエルゴールド」は寒地・寒冷地における春播き栽培に適した品種です。 現在、北海道内の民間企業(植物育種研究所)により平成28年からの種子販売が予定されています。他の民間企業等への種子生産の許諾も可能です。

◎予算
農林水産省委託プロジェクト「医農連携プロ」(平成22年~平成25年)

◎品種登録
出願番号:第28219号(平成25年8月30日出願公表)

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◎用語の解説

1.抗酸化能
呼吸により体内で生じる活性酸素は、ガンや心臓疾患、脳血管障害などの生活習慣病や老化につながる原因物質であると言われています。この活性酸素の発生抑制や、生成した活性酸素を除去する能力のことを抗酸化能と呼びます。

2.ケルセチン
フラボノイドに分類される化合物。タマネギには主に配糖体(ケルセチンにグルコースが結合したもの)として含有されます。ケルセチン配糖体はケルセチンよりも体内で効率よく吸収されます。健康に対する効果が期待され、サプリメントとしての販売や大手飲料会社の特定保健用食品(茶飲料)に添加されるなど、利用が広まっています。

3.F1品種
作物の品種育成では一般的な手法となっている、2種類の親品種の交雑により得られる雑種第一代品種のことです。生育が旺盛となり収量性が向上します。両親の優良形質を受け継ぐことで付加価値の高い品種となります。生育が斉一となる、などの特徴を示します。

4.タマネギのケルセチン含量
日本のタマネギ品種は、本州以南で栽培される「秋播きタマネギ」と主に北海道で栽培される「春播きタマネギ」の大きく2つのグループに分けられます。一般的に、秋播きタマネギは肉厚でみずみずしく柔らかく、春播きタマネギは煮崩れしにくく風味が強い傾向があります。春播きタマネギのケルセチン含量は、秋播きタマネギの2倍以上になります。「クエルゴールド」は、一般的な春播きタマネギのおよそ1.6倍のケルセチンを含有するので、一般的な秋播き品種との比較では3倍以上となります。 世界的にみても、日本の春播きタマネギ品種はケルセチン含量が多い傾向があるので、「クエルゴールド」は含有量の高い品種と考えられます。

5.乾物率
タマネギの水分以外の物質の割合を示したもの。ここでは、重量乾物率を示し、一般にその値が高いほど風味を強く感じる傾向があります。

6.フラボノイド
色素成分として植物界に広く分布し、2つのベンゼン環を3つの炭素原子で結合した基本骨格を持つ化合物。基本骨格に結合する修飾基によって、フラボン、フラボノール、アントシアニン等の複数のグループに分類され、現在までに4,000以上もの分子種が確認されています。

※詳細は下記UR(PDF)Lをご参照ください
◎ 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構) 2014年11月5日発表
http://www.naro.affrc.go.jp/publicity_report/press/laboratory/harc/054566.html

◎ 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)
http://www.naro.affrc.go.jp/

 

 

2014年11月11日 13:37

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