株式会社ユーグレナは、微細藻類ユーグレナ(和名:ミドリムシ、以下ユーグレナ)粉末やユーグレナ特有の機能性成分であるパラミロン※1粉末を継続摂取することで、肝星細胞※2の活性化が抑えられ、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)※3の肝臓の線維化※4が抑制されることを示唆する研究結果を、新たに確認しました。
※1 微細藻類ユーグレナ特有の成分であり、グルコース分子がβ-1,3-結合により直鎖状に重合した多糖体。
※2 コラーゲン線維を産生することで硬くなり、肝臓の線維化を起こす原因のひとつになる細胞。
※3 明らかな飲酒歴がない脂肪性肝疾患は非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)と呼ばれるが、そのNAFLDのうち、肝硬変、肝臓ガンへと進行する可能性のあるもの。
※4 内臓などを構成している結合組織と呼ばれる部分が異常増殖する現象のこと。肝臓においては、線維化が進むと肝硬変になる。
■背景と目的
肝臓のメタボリックシンドロームといわれている非アルコール性脂肪性肝炎は、脂肪肝から生じる炎症性疾患であり、症状が進行すると肝臓が線維化し、肝硬変や肝臓ガンの発症につながる可能性があります。同社ではこれまでに、非アルコール性脂肪性肝炎を発症させたマウスに、ユーグレナ粉末またはパラミロン粉末を加えたエサを経口摂取させることで、肝臓の線維化が有意に抑制されることを報告しています※5。今回は、ユーグレナ粉末またはパラミロン粉末の継続摂取による肝臓の線維化抑制に関するメカニズム解明を目的に、肝星細胞の活性化に関わるα-SMA※6の免疫染色※7による陽性面積率の確認を行いました。
※5 2016年11月24日付の同社リリース。
※6 「alpha-smooth muscle actin」の略で、線維化のマーカーとされるタンパク質。
※7 特定の物質を検出するための手法のひとつ。
■研究の内容
非アルコール性脂肪性肝炎を発症させたマウスを、(1)通常のエサのみを摂取させたコントロール群、(2)ユーグレナ粉末を加えたエサを摂取させたユーグレナ群、(3)パラミロン粉末を加えたエサを摂取させたパラミロン群に分け、それぞれ7日間経口摂取させた後、肝臓のα-SMAの免疫染色の陽性面積率を比較しました。
■結果
上記の試験の結果、(2)ユーグレナ群および(3)パラミロン群は、(1)コントロール群に比べてα-SMA免疫染色の陽性面積率が約40%減少しました。すなわち、ユーグレナ粉末またはパラミロン粉末の継続摂取が肝星細胞の活性化を抑制し、肝臓の線維化の抑制を示唆することを確認しました。
上記の研究成果は、2018年11月8日に米国の学術誌「Food Science & Nutrition オンライン版」に掲載されました。
今後も同社では、微細藻類ユーグレナの医療分野等での利活用や食材としての付加価値向上を目指し、研究開発に取り組んでまいります。
●微細藻類ユーグレナについて
微細藻類ユーグレナ(和名:ミドリムシ)は、植物と動物の両方の特徴を持ち、ビタミン類やミネラルなど豊富な種類の栄養素をバランス良く含む藻の一種です。2005年に株式会社ユーグレナが世界で初めて食用屋外大量培養に成功しました。
【詳細は下記URLをご参照ください】
・株式会社ユーグレナ 2018年12月4日発表(News Release)
・株式会社ユーグレナ ホームページ