花王株式会社メイクアップ研究所は、シミ部位の特徴およびシミ部位におけるベースメイクの付着状態について、解析を行ないました。
その結果、シミ部位は、色差があるだけでなく、皮溝形状および皮膚柔軟性などの素肌形状が非シミ部位と異なっており、これらがベースメイクを塗布した際の仕上がりに影響を与えることがわかりました。
※なお、同研究内容は、第83回SCCJ研究討論会(2018/12/20~21、東京都)にて発表しました。
■背景
多くの女性にとって、シミを隠したいというニーズは高いものの、思うようにカバーするのは難しいという悩みもあるようです。「カバーしすぎると厚塗りになってしまう」というだけでなく、中には、「カバーしたい部分にメイクがのりにくい」という声も聞かれます。そこで今回、シミ部位に着目し、その素肌性状を改めて調査するとともに、ベースメイクの付着性について解析を行ないました。
■方法
【対象】
境界明瞭なシミがあり、そのシミを隠したいという意識を持つ女性(31~59歳、25名)
【測定項目】
<シミ部位および非シミ部位の素肌性状>
洗顔および馴化後、皮膚水分量・皮膚柔軟性・肌の色の計測・シリコーンレプリカによる皮溝形状の観察、写真撮影、拡大観察
<シミ部位および非シミ部位のベースメイクの付着状態>
一定量の化粧水および乳液を使用した後、実験者の指に一定量のベースメイク(隠ぺい力の高い部分用コンシーラー;0.5mg/cm2)を取り、対象部位に縦横のストロークで一律に塗布
測色、写真撮影、シリコーンレプリカによる化粧膜転写、光学フィルターを用いて撮影したデジタル画像による、ベースメイクの皮膚上の分布の測定
■結果
1)シミ部位の素肌性状
シミ部位は非シミ部位と比較し、皮溝が太く深く、本数が少なく、皮膚柔軟性が低いという結果が得られました(図1)。
2)シミ部位のベースメイクの付着状態
シミ部位は非シミ部位と比較して、ベースメイクの付着量が多く、付着量のばらつきも多いことがわかりました。シリコーンレプリカに転写された化粧膜の拡大観察画像からは、皮溝にベースメイクがたまっていること、皮丘との付着量の差が大きく、ムラづきしている様子が観察されました(図2)。
3)ベースメイク付着状態と肌性状の関係
シミ部位と非シミ部位の化粧料塗布前後の明度の変化量ΔΔL*をカバー度合いの指標とすると、カバー度合いの低いシミは、皮膚柔軟性が低い傾向が見られました。このことから、柔軟性は、ベースメイクの付着性、カバー度合いに影響を与える可能性が示唆されました
(まとめ)
ベースメイク塗布によるシミのカバーには、シミ部位と周辺部の色差だけでなく、シミ部位の皮溝形状および皮膚の柔軟性も影響を及ぼすことがわかりました。
*同資料は、重工記者クラブに配信しています。
【詳細は下記URLをご参照ください】
・花王株式会社 2018年12月26日発表(リリース)
・花王株式会社 ホームページ