社福協は2009年6月15日、都内で「第17回 健康食品フォーラム」を開催した。「食品と健康を考える」のテーマで各専門家による講演が行なわれた。
はじめに鈴鹿医療科学大学保健衛生学部教授の長村洋一氏が「アドバイザリースタッフの今後の役割」のテーマで講演。昨年7月4日付けで厚労省から出された「健康食品の安全性確保に関する検討委員会報告書」に盛り込まれたアドバイザリースタッフの養成と活用などについての展望を報告。「健康食品の位置付けを明確にすることが重要」としながら、今年4月から3年の予定で厚労省から調査研究費として予算が組まれたことを受け、同スタッフのレベル向上、教育水準を一定に保つ仕組みづくりなどに積極的に取り組んでいくことなどを明らかにした。
弁護士の光石忠敬氏は「サプリメントの法制度論の検討と疑問」と題し、専門家の立場から、方向性の固まらないサプリメントの法制化についての疑問点を指摘。これまでに挙がっている試案などでは国による認証を必要しないことに異議を唱え、その上でサプリメントの位置付けとして、医薬品、医薬部外品などに続く形で、安全性や品質等についてもそれに準じた段階的な評価をあたえていくのがベター、と意見を述べた。
健康科学大学学長で東京都老人医療センター名誉院長の折茂肇氏は、「健康長寿のための健康食品の役割」のテーマでレクチャー。高齢者の健康寿命を妨げる要因となる認知症や運動器の障害のため、移動能力の低下をきたし要介護となるリスクの高い状態であるロコモティブ・シンドロームなどの実状を上げ、その維持改善に良いとされるイチョウ葉、グルコサミン、ビタミンKなどの作用や研究事例などについて解説した。
農林水産省技術会議事務局研究総務官の藤本潔氏は、「食品と新技術」のテーマで講演。農水研究の目標として、水田の生産性の向上といった課題解決型の目標設定がメーンとしながら、ロボット技術やITなどの異分野との融合による新分野の開拓なども大きなテーマであることを明かした。また、芋やお茶などの機能性成分の分析が、ニュートリゲノミクスなどにより、向上していることなどを現状として報告した。
最後に講演者4人が揃いパネルディスカッション。話題は自ずと定義があいまいなサプリメントの位置付けについて展開し「サプリメントの定義すらないのは情けない限り」「アドバイザリースタッフの役割を明確にするためにもサプリメント、健康食品の法的な定義が必要」「サプリメントと食品の線引きをなにをもってするのかは難しいところ」など、その微妙な位置付けを象徴するように、討論でもさまざまな意見が飛び交い、問題点があぶりだされた