日本物流団体連合会(宮原耕治会長)は2009年8月26日、新型インフルエンザが急速に拡大していることを受け、「物流業における新型インフルエンザ対策ガイドライン 準備マニュアル」を緊急発表した。このマニュアルは、取り急ぎ現段階において事業者が実施しておくべき必要最低限の対策をまとめたもの。今後これらの対策が完了したことを前提に、実際に第二波(弱毒性)や新型(強毒性)が感染拡大期に入ってから実施すべき対策を整理した「最終対策マニュアル」を今秋をめどに完成させていく。なお、物流連では準備マニュアルを同日付でホームページでも公開し、関係事業者に広く利用を呼びかけるとともに、対策の早急な実施を促している。
今回発表された準備マニュアルは、第二波や新型の国内発生早期までを対象時期として、この期間内に準備・実施しておくべき事項を整理したものだ。今秋以降の感染拡大に対処すると同時に、豚由来である新型のH1N1型だけでなく、鳥由来であるH5N1型の強毒性インフルエンザをも想定した感染予防を目的として作成された。
社員の感染防止、社内での感染拡大防止を主な目的とする対策を中心に整理されており、①経営者(総務・人事担当)、②衛生管理責任者、③現場管理責任者(運行管理者/施設運営管理責任者等)、④現場作業者(ドライバー/倉庫・施設内作業者等)の四つの主体別にとるべき対策がまとめられている。
物流連の経営問題委員会(旧委員会の一つ、現在は改編)では、今春メキシコで発見された豚由来の新型インフルエンザへの危機感から感染拡大の推移状況を調査し、かつ専門の知識や経験の豊富が学識経験者に協力を仰ぎながら、対策ガイドラインの準備マニュアルの作成を進めてきた。
今年7月に第1回、8月に第2回の小委員会が開催されたが、ここにきて予想以上の勢いで感染が拡大していることから、既定のスケジュールでは第二波への準備が遅れると判断。これまでに作成したマニュアルを公開し、物流事業者や物流事業に従事している社員、家族に徹底した注意を呼びかけることを決めた。
なお、今秋発行予定の最終マニュアルでは、社外への拡大防止のほか、企業の事業存続、企業の社会的責任遂行を目的とする対策も含めて整理。セーフティネットの構築や金融面を含む各種支援策、緩和措置などについて、要望状況や国からの回答状況を受けてまとめていく予定だ。