昭和パックス(東京都新宿区)は、紙袋1袋ごとにバーコード印字し履歴管理可能なシステム「STS(昭和パックス・トレーサビリティ・システム)」を開発し、東京工場で早速導入した。従来、クラフト紙重包装袋業界では1袋ごとの履歴管理システムはなかったという。このため、重袋を使用する需要家にとっては、同システムにより生産される袋を使用すれば、納入先から万が一クレームが発生した際のリスクヘッジにつながることは明白で、同社はもちろん、導入企業も納入先へのPR効果などのメリットがあることから需要を喚起する可能性は大いにありそうだ。
今回、昭和パックスが「STS」を開発した目的は、クレーム時の異常品の範囲を絞り込むためで、これにより納入先企業への補償および処理費用の抑制につながることを見込む。もちろん、結果的に製造履歴管理により製造現場の品質に対する意識向上も期待できるほか、他社製品との差別化された特長を提案することで売り上げ拡大も期待できる。
同システムの仕組みは、印刷の工程でインクジェットプリンターにより、1袋ごとにバーコードと連続番号を同時に印刷し、印刷された袋のバーコードを次工程ではリーダーで読み取る。その際、通過時間とともに機械運転状態をメインサーバーに自動記録するもので、その情報に加え、歩留伝票、作業日報を合わせた製造中の内容を把握できる。
こうしたプロセスを経て製造された袋はいずれもクレーム発生時のリスクヘッジにつながる。原因となる事柄や工程の把握が、同システムを使用しない袋と比較して圧倒的に容易だからだ。袋のバーコードナンバーおよびサーバーの記録により袋が各工程を通過した時間が分かることはもちろん、歩留伝票、作業日報、メインサーバーの記録から原因発生の時間範囲を限定できる。この結果、時間範囲内に対象工程を流れた袋が不具合対象品となり、補償の範囲を大幅に絞り込むことが可能。
同社では、防府、盛岡、亀山、富山の各工場に来年度から順次導入していく方針だ。
なお、同システムについては特許および実用新案登録申請中だ。