主力の健康食品事業と相互で盛り上げたい両輪の1つとして、 1998年から基礎化粧品 「RJスキンケア」 などを展開している山田養蜂場 (本社∥岡山県苫田郡) が、 中心顧客層の若返りを狙った新しい販促活動で着実な成果をあげている。
東京商工リサーチによる同社の2009年4月期決算売上高339億円のうち、 化粧品が占める構成比は 「約25%前後」 (化粧品事業部田村直久サブチーフ) というもので、 現在も年次で継続的な伸長を見せるものの 「伸び率の鈍化が明らかで、 会社がめざす数値と実際の間に開きがある。 再びの成長カーブに向っていかなければならない」 と田村チーフは現状を語っている。
成長鈍化の原因として、 ブランド構成比で売上げの大半を占める 「RJ」 の中心顧客層が60歳代と高齢化が進むなか、 「若い層が獲れていない」 ことが化粧品事業を成長の踊り場に近づけているという実態がある。
そこで同社は2009年2月、 若手演技派として人気の女優・国仲涼子さんを起用して20~30歳代向けブランド 「ハニーラボ」 の広告宣伝を開始した。 従来から若いブランドイメージで訴求していた同商品だが、 田村氏は 「可愛らしい部分をアピールしても、 接する媒体が若い層に馴染みの薄い新聞や折込みでは、 反応する新規客の年齢層が40歳以上となり狙いと結果にズレが生じていた」 過去の反省点を説明。 これを踏まえ、 国仲さんの起用を契機に露出するメディアをWebや雑誌に切り替えたところ、 顧客の若返り策で一定の成果を引き寄せている。
具体的には、 09年12月までに 「ネットに関していうと、 新規客の年齢が10歳近く若返った。 折込み広告についても5歳ほど若年化が進んだ」 (同) という。 一方で、 「新聞広告の反響は年齢が変化していない」 など成果は媒体別に格差があるほか、 「国仲さんのイメージに50歳代顧客が反応するというイメージはなかった。 驚きだった」 という実態に出くわすなど、 新しい試みは同社に蓄積を植え付けている。
11年目に入った同社の化粧品事業の概要を説明すると、 製造背景はグループ傘下のヤマダビーコスメティック (同) と06年に完全子会社化したロゼット (東京) による自社生産を基本にしている。 販売チャネル構成は 「通信販売がほとんど」 であるほか、 膝元の岡山と東京・大阪で計3カ所の店舗展開も行っている。
ローヤルゼリーは 「内服しても塗布してもいい」 をキーワードに、 立ち上げ当初は健食の既存顧客へクロスセルで育成してきた化粧品事業だが、 近年はコスメの指名買いが接点になる新規客が増加している。 ボディ・ヘアケアやメーク商品にプラス、 男性向けまでカバーする総アイテム数はSKUベースで約50種類とラインナップは少なくない。 化粧品、 健食とも愛用しているユーザーの場合、 他の愛用者に比べ定着率や顧客ロイヤリティーが際立って高いことが特徴だという。
同社の通販戦略を既存客への接し方で見た場合、 アウトバンドコールを積極活用している点に特徴が見える。 電話のアウトバウンドは創業者の理念 「お客様と1対1で向き合うこと」 を通販で実践したもので、 田村氏は成果について次のように説明している。
「『お試しセット』 を購入後、 使いきれていなかったお客様の背を電話で押すことができる。 また、 単品売上最上位の 『エッセンス』 を買った方へ関連で化粧水やクリームの重要性を伝えている。 お客様の属性に応じたアプローチが可能という点で、 アウトバウンドは販促の肝」 だと位置づけている。 電話業務の内容やトークのレベルアップは 「日々、 精査している」 と向上へ尽きない意欲を強調。 顧客の若返りや電話業務で進歩の感触を得ている同社は、 来期の化粧品事業で一層の飛躍を期している。