制御機器大手のIDEC(大阪市淀川区)は、大阪大学と共同で6種類のプラスチック素材判別を可能にしたセンサを開発。世界で初めて、流通店舗に同センサを搭載したプラスチック分別装置として導入し、大阪大学生活協同組合、市民生活協同組合ならコープにて実証試験を始めた。
同実証試験は、三菱電機エンジニアリングや大阪大学などの産官学共同からなる地域住民との新しいプラスチックリサイクルシステム構築のための社会モデル実証の一環として近畿経済産業局から委託された事業。
現在スーパーや商業施設では、PETボトルや食品トレーに多く使われているPSなどが回収されているが、シャンプー容器などに代表される目視では判別しづらいPEやPPは未だ回収されていないのが現状。
独自のレーザーフォトニクス技術を駆使し、プラスチック素材に波長の違う5つのレーザーを上部から照射、反射する光を分析し判別する。PET、PE、PP、PS、PVC、ABSの6種類検出する。今まで一般ゴミとして捨てられているヨーグルトやプリン、豆腐やシャンプー容器などさまざまなプラスチック容器の種類別回収が可能になるとして期待が高まる。
判別時間は、1万分の1秒程度。判別後は、同装置内の6軸多関節ロボット(三菱電機製)で自動的にボックスに分別する仕組み。投入、判別、分別の全工程含め30秒程度となっている。装置全体の大きさは、畳約2枚分となっており、店舗内への設置が容易になっている。
判別後には、前面のタッチパネル部に重さ、種類、形状が映し出される。そのほかにも投入したプラスチック素材の焼却時にかかるCO2を表示することで、地域全体のリサイクル意識の向上にも貢献している。実際に使用した学生や家族連れからも好評だ。
「今後、容器包装リサイクルの観点からもプラスチックの正確な分別回収は進んでいきます。一見判別しにくいプラスチック素材を正確かつ効率的に分別回収する装置として定着し、少しでもCO2排出削減、循環型社会への一助となれば」と同社広報村上友衛氏は語った。