(財)医療経済研究・社会保険福祉協会(東京都港区)は2010年6月15日、都内で「第20回 健康食品フォーラム」を開催した。今回は「健康食品の安全性・機能性表示の今後の方向性」のテーマで行われた。
20回を迎えた同フォーラムは、初めに記念講演として慶應義塾大学医学部眼科教授の坪田一男氏が登壇。「高齢社会における健康食品の役割」のテーマで、抗老化における、予防の重要性を実例を交えながらレクチャー。医療費削減の観点からも今後、予防医学が重要となり、そのために健康食品の必要性が増してくるとの見解を示した。
その後、厚生労働省医薬品局食品安全部の松井保喜氏が「健康食品の安全性確保について」、健康と食品懇話会相談役の太田明一氏が「第三者認証制度、業界自主規制案について」、NPO法人国際生命科学研究機構事務局長の浜野弘昭氏が「栄養/健康強調表示の国際動向とこれからの食品表示のあり方」、神奈川工科大学教授の田中平三氏が「健康食品の表示の現状と今後の動向(私見)」の各テーマで、講演。国内外と行政サイドにおけるそれぞれの健康食品を取り巻く状況について報告した。
最後に、この4人により、今後の健康食品の方向性について、パネルディスカッションが行われた。「健康食品の表示に関する検討会」の座長を務める田中氏は、「正直、消費者側からの逆風はかなり厳しいものがある」とその現状を説明。その上で、いわゆる健康食品といわれるジャンルから新しいカテゴリーが必要、との私見を明かした。太田氏は安全性が最重要としながら「消費者にとって分かりやすい表示は必要不可欠」と訴えた。
聴衆からは「実際のところ、検討会の展望はどうなのか」との質問が上がったが、同検討会の委員に名を連ねる2人はそれぞれ「いろいろな可能性を模索し努力する」(太田氏)、「前々回まではいい感じだったが前回、予期せぬ意見が飛び出したこともあり、微妙」(田中氏)と回答するにとどまり、歯切れは悪かった。