ファンケル (本社∥横浜市) が発表した2010年3月期連結決算は、 売上高995億3600万円で対前年比1・6%増、 営業利益91億5800万円で同37・4%増、 経常利益91億8100万円で同32・3%増、 当期純利益は43億600万円で同61・7%増となった。
グループ全体を通じた高収益体質の実現に向け、 前期は物流・生産・本社コストの見直しを進めたほか、 マーケティング費用の効率的な運用で収支バランスの改善をめざした。
その結果、 売上高営業利益率が対前年比2・4P改善の9・2%、 売上高経常利益率が同2・1%改善の9・2%にそれぞれ変動したことに関連し、 売上総利益率が同0・1P改善 (11億7100万円の増加) の66・7%となっている。 「販売費及び一般管理費」 は572億9400万円で対前年比97・7%だった。
一方、 一連の支出引き締めが進んだなかで 「研究開発費」 は2009年3月期より10・1%多い7億2800万円を投じている点は、 競争激化が進む美容・健康商材のマーケットで同社が他社や製品愛用者を相手取った勝ち残り意識の反映だと見てよさそうだ。
「事業別の状況」 に目を転じると、 主力の化粧品関連事業は売上高519億200万円で対前年比3・6%増と底堅い成長力を見せたほか、 営業利益は79億4500万円で同17・5%増となり営業利益率が同1・8P改善の15・3%に高まった。
また、 化粧品のチャネル別売上高は 「通信販売」 が257億5400万円 (構成比49・6%) で対前年比1・5%減とわずかに実績を割り込んだほか、 不採算拠点の整理が進んだ 「店舗販売」 は164億3100万円 (同31・7%) で同4・5%減となるなど、 従来からの主要2チャネルの落ち込みや国内の落ち込みを57・6%増だった海外売上高69億9900万円がカバーした構図が鮮明になっている。
さらに、 ブランド別売上高は 「ファンケル化粧品」 が407億8000万円で対前年比6・2%増と好調に推移した。 リニューアルが成功した 「マイルドクレンジングオイル」 や 「洗顔パウダー」 など稼ぎどころのアイテムが好調だったほか、 従来は卸先だった香港と中国の販売代理店のグループ会社化が伸長に寄与した。 これに対し、 20周年の節目だった 「アテニア化粧品」 は94億6800万円で同9・7%減と2ケタ近い落ち込みとなり、 期を通じて顧客数の減少が続いた。
今期の連結業績予想は売上高975億円 (対前年比2・0%減)、 営業利益80億円 (12・7%減)、 経常利益80億円 (同12・9%減)、 当期純利益44億円 (2・2%減) としている。 化粧品関連事業では主力のスキンケア製品の販売が堅調に推移すると見込む一方で、 連結子会社化した香港・中国の販売代理店を持分法適用関連会社に変更したことに関連し減収を織り込んだ。
また、 化粧品ジャンルで 「ファンケル化粧品」 にブランド育成費用として3億円、 「アテニア化粧品」 にマーケティング投資の名目で5億5000万円の投資をそれぞれ行い、 事業再成長に向けたコストの積極投下を行う。 ここでは 「中期方針」 としてファンケルを 「グローバル・プレミアム・ブランド」 として育成する方針に加え、 同社にとって手薄または未開に近かったカウンセリングを通じた顧客接点の強化に取り組む。 このほか、 落ち込みが目立つ 「アテニア」 は対象顧客層の拡大を目的にしたスキンケアラインを構築するほか、 新しい営業システムの検討やインターネット通販の強化をテコに立て直しを進める。