香食粧研究会はさきごろ、 キックオフシンポジウムおよび総会を東京農業大学世田谷キャンパスで開催した。
日本食品科学工業会との共催となったシンポジウムでは、 「健康社会における食・香・粧の連携」 をテーマに、 様々な角度から有識者が見解を述べた。
島田邦男氏 (日油) は美を作り出す体の内外からのケアについて語った。 日油では、 独自に開発したMPCポリマー (リン脂質極性基を有するポリマー) を 「リピジュア®」 のブランドで化粧品メーカーに販売し、 すでに2000アイテム以上に採用実績がある。
「資生堂の 『IN&ON』 のように体の内外からケアをするブランドが相次いで登場しており、 今後は食品分野への進出も視野に入れている。 機能性食品や健康食品で採用している成分は香粧品成分への転用が安易であるからだ。 コラーゲン、 ヒアルロン酸、 各種ビタミン、 ミネラル、 ウコン、 プラセンタ、 カルニチン、 グルコサミン、 セサミンなど共有素材は沢山ある。 このままだと情報の海に消えてしまう素材が多いので、 さらなる共有化を進めていきたい」
木村公子氏 (曽田香料) は、 健康志向食品への香料開発について言及した。
「香料の使用目的には製品の特徴づけ、 香りの補強、 マスキング、 アロマコロジー、 アロマテラピーの利用などが挙げられる。 近年の研究で香りが脳を刺激し、 心理面、 生理面に影響を与えることがわかってきた。 一方で、 抗菌や薬理効果を持つ香料も数多く知られている。 香料化合物の中にはチロシナーゼ活性阻害効果や皮膚常在菌に対する抗菌効果、 血流促進効果などの生理活性が確認されている。 健康食品向けにはマスキングだけでなく、 風味全体のバランスを改善するマスキングフレーバーの開発に注力している」
総会では、 永島俊夫会長が 「研究会はこの総会をもって本格的にスタートする。 食品と化粧品の枠組みの会は日本ではめずらしい。 試行錯誤の部分はあるが、 意見交換を通じて会を充実させていきたい」 と挨拶した。
さらに副会長に小仲正久氏 (日本香堂)、 宮下忠芳氏 (ディーエイチシー)、 理事に柴山祐治氏 (HBCサイエンス研究所)、 遠田尚穀氏 (コーケン香料)、 伊藤実氏 (ノエビア)、 藤森嶺氏、 渡部俊弘氏、 西澤信氏、 佐藤広顕氏 (以上、 東京農業大学)、 監事に澤口和人氏 (シティ環境)、 丹羽光一氏 (東京農業大学) が選出された。