矢野経済研究所は、「健康食品市場に関する調査結果2010」(調査期間2010年10~12月)を実施し、健康食品の09年度市場規模を前年比0・9%増の6757億円と予測し、4年ぶりに拡大に転じたと報告した。調査は、機能性を訴求した食品で、錠剤・カプセル・粉末・ミニドリンクタイプの商品のみを対象としている。
販売チャネル別の内訳は、無店舗販売(訪問販売・通信販売)が4957億円、店舗販売が1330億円、その他が470億円となっており、無店舗販売が市場の7割以上を占めている。無店舗販売の中でも近年は、通信販売が好調に推移しており、09年度も2333億円と前年比約9%の伸びで、市場拡大に寄与した。
06~08年度までの縮小傾向は、行政による規制・監視の強化と健康情報番組の減少で、ヒット素材が生まれにくい環境になったことに加え、景気後退による消費者の消費抑制の動きが要因だった。そうした中、健康食品関連の広告出稿の増加にあり、広告を目にする機会が増えたことで、消費者の購買意欲が喚起され、通販が拡大したと考察している。
機能・素材別では、「内外美容」と「アクティブシニア」をそれぞれキーワードに「美容・アンチエイジング向け素材」と「エイジングケア素材」がニーズを獲得。アンケート調査(40~60代女性935名)では、「現在気になる、あるいは改善したい身体状態」として「美容・アンチエイジング」が50・1%と高い割合を占めた。その中で、現在健康食品を摂取している女性372名に摂取目的を聞いたところ、47・8%の女性が「美容・アンチエイジング」と答えたという。
一般的に、美容・アンチエイジング目的で摂取をはじめた健康食品は、継続性が高く、離脱が少ないといわれており、成分別では、消費者の認知度が高いコラーゲンやヒアルロン酸などが堅調に推移している。最近4年間の成長率を比較すると、09年度は鈍化したが、未トライアル層も多く存在するとみられ、新規ユーザーの掘り起こしによる拡大が期待される。
また、関節など加齢に伴う身体的な悩みに対応するエイジングケア関連素材でも、認知度の高いグルコサミンなどが好調に推移。天候不順による野菜価格の高騰を受けて、手軽に摂取できる粉末タイプの青汁も拡大に転じたという。