第5回「栄養成分表示検討会」が2011年5月18日、都内で開催された。この日は、4度に渡って議論してきた内容を踏まえ、論点整理に入った。
最初にオブザーバーとして参加した厚生労働省健康局総務課生活習慣対策室栄養・食育指導官の河野美穂氏が「我が国の健康・栄養政策のねらいと内容」について説明。「健康日本21」を軸にその目標や取り組みなどについて解説した。
続いて東京大学大学院医学系研究科公共健康医学専攻社会予防疫学分野教授の佐々木敏氏が「日本人の食事摂取状況をふまえた栄養素摂取の分布」について報告。エネルギー、たんぱく質、鉄分…など各栄養成分の過不足状況等を「国民栄養調査」を再解析し、その結果を公開した。
お茶の水女子大学大学院人間文化創成科学研究科准教授の赤松利恵氏は、同じく「国民栄養調査」を再解析した結果として、「栄養成分を参考にメニューを選ぶ人の特徴」を分析。基本的には参考にする人ほど健康意識が高く、さらに女性ほどその傾向が高いことを報告。一方で、参考にしながらも過剰な摂取が認められるデータもあり、医師などにより指摘され関心があるためではないか、と推測した。
その後、「栄養成分表示のあり方」をテーマに整理に入り、(1)栄養成分表示の目的及び対象となる栄養成分(2)栄養表示はだれのためのものか、の2点ついて、各委員により議論が行われた。
(1) については、「日本人の多くに過不足があり、知っておくべき栄養素をリストアップし、重要度でランク付けし行く方法はどうか」といった意見のほか、具体的に「誰にでも分かりやすい表示で脂質」、「生活習慣病に関連する栄養素として、たんぱく質、ナトリウム、エネルギーなど」、「特に影響があるモノとして飽和脂肪酸、食物繊維」などがあがった。
(2) については、「女性は比較的栄養表示などを活用しており、男性にも分かりやすいものにすべき」といった声や「男女共同参画の思想が必要」という意見、「あれもこれもではなく例えば肥満予防をターゲットにエネルギーに絞ることでメッセージが伝わりやすくなるのでは」といった幅広い意見が飛び交った。
次回5月末の検討会では、今回具体名がでた成分や考え方を踏まえ、さらに踏み込んだ論点整理を行う。最終的には、6月下旬の第7回検討会で報告書案の審議を行い、第8回7月下旬の検討会で報告書を取りまとめる予定。
【出席者一覧】
(委員)
赤松 利恵 お茶の水女子大学大学院人間文化創成科学研究科准教授
畝山 智香子 国立医薬品食品衛生研究所安全情報部第三室長
鬼武 一夫 日本生活協同組合連合会組織推進本部安全政策推進室長
坂本 元子 和洋女子大学学長(座長)
迫 和子 社団法人日本栄養士会専務理事
佐々木 敏 東京大学大学院医学系研究科教授
塩谷 茂 財団法人食品産業センター技術環境部長
徳留 信寛 独立行政法人国立健康・栄養研究所理事長
仲谷 正員 日本チェーンストア協会食品委員会委員
浜野 弘昭 特定非営利活動法人国際生命科学研究機構特別顧問 前事務局長
飛田 恵理子 特定非営利活動法人東京都地域婦人団体連盟生活環境部長
山田 和彦 女子栄養大学栄養学部教授(座長代理)
山根 香織 主婦連合会会長
渡部 浩文 東京都福祉保健局健康安全部食品医薬品情報担当課長
(オブザーバー)
河野 美穂 厚生労働省健康局総務課生活習慣病対策室栄養・食育指導官
(消費者庁)
原 敏弘 消費者庁審議官
相本 浩志 消費者庁食品表示課長
平中 隆司 消費者庁食品表示課長補佐
米倉 礼子 消費者庁食品表示課衛生調査官