ホルス(東京都中野区)は、EGF(上皮細胞増殖因子=Epidermal Growth Factor)に続き、FGF(線維芽細胞増殖因子=Fibroblast Growth Factor)を、国内にある自社工場で製造することに成功し、今秋から販売を開始する。
EGFや、同じ成長因子の仲間であるFGFは、医学の父と呼ばれたギリシャのヒポクラテスが治療に使ったと言われるプラセンタや、楊貴妃が美容と健康のために好んで食したとされるツバメの巣(燕窩)に含まれている。もともと人の体の中にある成分で、EGFが表皮に働きかけるのに対し、FGFはその名の通り肌のさらに奥、真皮に存在する線維芽細胞に働きかけ、増殖を促進する作用を持っている。
線維芽細胞とは、皮膚の機能を保つ上で最も重要な細胞で、真皮の成分であるコラーゲン、エラスチン、ヒアルロン酸を合成する細胞のことだ。肌にFGFを補うことで、肌の弾力やハリを取り戻すことができる。
実際に、FGFをヒトの血管内皮細胞に5ng/ml加えて実験を行ったところ、64時間後の細胞数が、何も加えなかった場合と比べて、約2倍多いということが証明されている。
同社が提供するFGFは、日本国内の自社工場にて製造を行っており、遺伝子組み換え非病原性大腸菌を用いた大量生産技術の確立に成功している。生産過程における特徴は、FGFを菌体外に分泌させているという点である。このことによって、抽出時に生じる変性が避けられ、純度の高いFGFを抽出することができるのである。
また、リポソーム化技術を用いて人間の細胞膜と同じリン脂質の被膜で包んでおり、大きさはナノサイズ(直径70~250nm)と極小サイズである。これによって肌への浸透力を向上させ、変性からFGFを守り、細胞間へ届けるという利点をもっている。
体内のFGF量は年齢や個人によって異なるが、余分なFGFは蓄積されずに体外へと排出されるため、男女、年齢を問わず安心して使用できる。
原料は化粧品への配合を考慮し、液体での供給を行っているため、化粧水、美容液、ジェル、クリーム等、様々な性状への配合が可能だ。
また、FGFやEGFは現在も研究が進められ、肌への効果だけではなく、発毛効果も明らかになっている。
EGFは、表皮細胞の増殖、分化を促進する作用を持つ成分であり、頭皮に働きかけて毛母細胞の分裂を促進することによって発毛を促す。写真は、EGFを配合したトニックを1か月間塗布した治験結果である。EGFなしの場合と比べ、発毛量に明らかな違いが見てとれる(写真=EGF配合トニック使用による、マウスでの発毛実験)。
さらに、FGFと組み合わせることで相乗効果が期待されるため、併せて拡販を行っていく予定だ。