森永乳業(株)( 東京都港区、宮原道夫社長)はこのほど、ペースト状の食品呈味素材「森永クリームファインK-1」の供給を開始した。
同素材は、クリームを原料にしたペースト状の食品呈味素材。原料を酵素処理し、ミルク風味を増強した。
「これまで、バター、チーズを原料にした素材はありましたが、クリームもできないのかとの要望がありました。原料確保や製造工程の検討などに時間がかかり、開発に時間がかかりましたが、ようやく体制が整い、安定供給が可能となりました」と同社担当者は話す。
遊離脂肪酸をクリームの数十倍含むのが特徴で、少量を添加するだけで呈味、ボディ感、コク、後味の付与ができ、調合香料では出ない天然クリームの自然な風味を実現する。添加の目安量は、0.01%~0,5%。
全粉乳で作ったホワイトソースに同素材を0.5%添加し、その添加の有無による風味の違いを味覚センサーで分析した。その結果、同素材を添加したホワイトソースが添加なしのホワイトソースをすべての点で凌駕。特に、味の複雑さ、素材由来のコク、素材の余韻にいては、倍以上の高評価となった。
乳原料は北海道産100%で、食品表示が可能。スープやシチュー、ホワイトソース、パスタソース、カレー、ドレッシング、飲料、生チョコレートなど、幅広い用途が期待される。
加工向け乳原料市場は、国内では猛暑や震災の影響などで、供給不安定となっており、海外でも乳原料のニーズが増大し、価格が上昇傾向にある。そうした中で、コストダウンにつながり、かつ付加価値のある商品が待望されている背景がある。