株式会社IHM(東京都品川区)の機能性食品原料「パロアッスル」は、AMPK(※)活性による糖取り込み能の向上を確認し、特許申請を行った。
血糖の7~8割は骨格筋で取りこまれるが、血糖が筋組織細胞内に入るためには、細胞内部に存在する糖輸送体タンパク質:GLUT4(※)の助けが必要となる。このGLUT4を細胞膜上へ導くシグナルとして、インスリンシグナルと、インスリンに依存しないAMPKを介する経路が知られている。
パロアッスルはインスリンが関与しない状態でもGLUT4の膜移行を促進し、さらに濃度依存的にAMPKの活性度を上昇させることを確認した。これらの確認事項により、2型糖尿病やメタボリックシンドロームの原因及び悪化につながるインスリン抵抗性を改善する可能性が示唆される。
また、上記に関するパロアッスルの筋芽細胞の分化促進による筋管細胞形成誘導については、2016年2月に米国学術誌「Nutrition Research」に収載された。これらの作用メカニズムにより、パロアッスルはAMPK活性化による脂肪細胞や筋肉細胞への糖取り込みを促進、細胞内エネルギー代謝を活発にするとともに、基礎代謝の増加、骨格筋量増加等も期待できる。
※AMPK(AMPキナーゼ):筋肉中で糖や脂肪酸を取り込み燃焼させることが可能な酵素。
運動療法は運動による刺激でAMPKが血液中の糖をGLUT4へ誘導し、血液中の糖取り込みを促進、筋肉などの臓器へ保管させるため、インスリン抵抗性を有する方の血糖値を下げる目的としても推奨されている。
※GLUT4:グルコースを細胞へ輸送する糖輸送体の一種。細胞膜へ移行することで糖取り込みが可能となる。
<パロアッスルとは>
パロアッスルは、現地の言葉で「青い小枝」という意味を持つ南米パラグアイ共和国チャコ地方にのみ自生するキク科多年生の植物。特に糖尿病・腎臓のケアが期待できる健康茶として古くから現地住民に利用されてきた。これまでのヒト及び細胞試験の結果から、基礎代謝・骨格筋量上昇、アディポネクチン分泌増加、筋芽細胞の分化促進、血糖、血中脂質コントロール等の生活習慣病予防作用を確認している。
(白色脂肪組織の褐色化及び熱産生たんぱく質:UCP1の活性化についても特許申請中)
パロアッスルは白色・褐色脂肪細胞の両組織で脂肪の代謝を促すたんぱく質:PPARγの発現上昇とともに、血中アディポネクチンの増加、白色脂肪組織の褐色化、及び、褐色脂肪組織内でのUCP1の活性化を確認しており、こちらも千葉大学大学院薬学研究院との共同出願による発明特許申請中である。