老化治療の最前線を走るビルアンドリュース博士がこのほど、都内で来日記念講演を行った。講演を主催したテロメア最先端医療医学学会の小松榮富名誉理事長が「人間が年を取るのは仕方がない。ところが老化を病気として治療できるとする発想には驚いた」と興奮気味に開会あいさつをする中、イベントは幕を開けた。
寿命は病気だ。人類の永遠のテーマ、寿命に対し、全く違うアプローチで研究を続けるビル・アンドリュース博士。その理論を応用した製品も続々発売され、不老薬誕生もカウントダウンに入っている。この日の講演では、最先端の老化医療について解説し、同氏の研究が切り開く未来図の一端を示した。
同氏の理論は、細胞分裂回数の限界が老化につながる。その原因は、テロメアDNAの長さが短縮するため、というもの。そこで、その短縮を遅らせるテロメラーゼ誘導活性化物質を突き止めることが、同氏の研究の主要テーマとなっている。
超高齢化に突き進む日本では、この動きにいち早く賛同し、テロメア最先端医療医学学会を設立。同氏の研究のサポート体制を整備している。同氏自身も、日本への強い関心を持ち、研究の進展に比例するように来日頻度を高めている。
研究成果を応用したサプリメントや化粧品はすでに実用化のめどが立っており、医薬品も実験レベルで製品化のカウントダウンに入っている。「テロメア短縮に起因する病気には、心臓血管疾患、癌、アルツハイマー症、関節リュウマチエイズなど非常に幅広い。従って、テロメア短縮を抑えるテロメラーゼ誘導活性化物質の発見で老化治療が現実化されることになる。もう遠くない将来だ」と同氏は展望を明かした。
寿命が延びるというよりも、死の直前まで元気に生きられる。まさに大往生が当たり前になる。そんな世の中がそう遠くない将来やってくることを予感させる力強い講演となった。