ファイザー株式会社(本社:東京都、代表取締役社長:梅田一郎、資本金:648億円)は、6月20日の父の日を前に、喫煙習慣のある父親とその娘300組600人と喫煙習慣のない父親とその娘300組600人の合計600組1200人を対象にタバコについてのインターネット調査を実施しました。
喫煙はガンや心疾患、脳卒中、COPDなどの疾患の発症と関連しているほか、その煙を通して周囲の人の健康にも影響を与えます。近年では、こうしたタバコによる健康被害への対策として、禁煙の支援や路上喫煙の規制、分煙の促進などの取組みが行われています。
一方、家庭においては、子どもの受動喫煙防止や、未成年者の喫煙防止の観点から対策を求める声が高まっているものの、その対策はそれぞれの家庭に任されているのが現状です。喫煙者の約7割はニコチン依存症で、その多くが過去に禁煙に失敗していることが明らかになっています。禁煙においては喫煙者本人の意志に加えて、周囲のサポートやタバコを吸えない環境づくりが重要になっており、喫煙者に対する家族の影響や役割は大きくなっています。
そこで、家庭での喫煙の実態と、父親の喫煙・禁煙に対する娘の意識・影響を探ることを目的に今回の調査を実施しました。
今回の調査によって、主に次のことが明らかになりました。
※NEWSRELEASE中の数値は、全て小数点第2位以下を四捨五入しています。
お父さんにタバコを吸ってほしくない85.7%
49.7%の父親が娘から勧められれば禁煙に挑戦
喫煙者の父親を持つ娘300人に「お父さんがタバコを吸うことについてどのように思いますか?」と尋ねたところ、実に85.7%(257人/300人)もの娘が「吸ってほしくない」と回答しました。一方で、タバコを吸う父親に対して、「子どもから禁煙を勧められたら、禁煙に挑戦したいと思いますか?」と尋ねたところ、49.7%(149人/300人)が「はい」と回答しており、約半数の父親が娘の勧めをきっかけに禁煙に取り組む意欲を持っていることが明らかになりました。
またこの数値は、過去に娘に禁煙を勧められたことがある回答者200人の禁煙挑戦率28.0%(56人/200人)と比べてみても約2割増加しており、社会的な禁煙機運の高まりから、禁煙への意欲が高まっている様子がうかがえました。
家族への影響はわかっている、でもやめられない
■喫煙者の83.0%が自宅でも喫煙、その半数が家族の前でも喫煙すると回答
喫煙習慣のある父親に「自宅でタバコを吸いますか?」と尋ねたところ、83.0%(249人/300人)が「はい」と回答しました。また「ご自身の喫煙が家族の健康に与える影響を気にしたことがありますか?」との質問に対しては、86.0%(258人/300人)が「はい」と回答しており、喫煙者の多くがタバコが家族に与える健康への影響を認識していることが分かりました。
しかしその一方で、自宅で喫煙すると回答した249人に対して「自宅で喫煙する際、周囲に家族がいてもタバコを吸いますか?」と尋ねたところ、49.8%(124人/249人)が「吸う」と回答しており、健康への影響を認識しながらも家族の前でタバコを吸っている実態が明らかになりました。
■自宅での喫煙場所は「ベランダや庭など室外」が40.2%と最多、次いで「台所」が20.1%。家族への配慮から、タバコの煙が届きにくい場所で喫煙している実態が明らかに
自宅で喫煙する父親249人に対して、「自宅で喫煙する際、主にどこで喫煙していますか?」と質問したところ、「ベランダや庭など室外」が40.2%(100人/249人)で最も多く、次いで「台所」20.1%(50人/249人)、「自室」19.3%(48人/249人)と続きました。煙のこもらない室外や換気扇のある台所、家族のいない自室など、家族に迷惑のかかりにくい場所での喫煙が、現在の主流となっているようです。
■タバコを吸う父親の69.7%がニコチン依存症、68.0%が過去に禁煙の挑戦経験あり
ニコチン依存症の診断基準となる10項目(TDS:TobaccoDependenceScreener※1)について質問したところ、ニコチン依存症と診断される喫煙者は69.7%(209人/300人)に上ることが分かりました。また、「今までに禁煙に挑戦したことがありますか?」との質問に対しても、喫煙者全体のうち68.0%(204人/300人)が「はい」と回答しており、多くの喫煙者が過去に禁煙に失敗した経験があり、タバコを止めるのが難しいことが分かります。
また、ニコチン依存症に該当した喫煙者209人が禁煙治療の保険適用対象となるかを明らかにするため、ブリンクマン指数※2を調べました。その結果、ブリンクマン指数が保険適用の対象となる200以上である喫煙者は、90.9%(190人/209人)に上りました。
※1東京大学の川上憲人らがWHOの国際疾病分類のICD-10や米国精神医学会の精神疾患の診断基準(DSM-Ⅳ)に準拠して開発したニコチン依存症のスクリーニングテスト。日本人を対象に信頼性と妥当性の検証がなされている。10項目の質問で構成され、10点満点のうち5点以上であればニコチン依存症として診断される。
※2ブリンクマン指数とは、喫煙本数と喫煙年数をかけた数値を指す。禁煙治療の保険適用を受けるためには、ニコチン依存症であると診断されると同時に、ブリンクマン指数が200以上であることが条件になる。
娘に勧められれば禁煙したい
■父親が禁煙を決意する娘の一言は「お父さんのからだに悪いからタバコは止めて」23.0%
タバコを吸う父親に対して、「子どもから言われたら、禁煙を決意すると思う一言はどれですか?」と尋ねたところ、「お父さんのからだに悪いからタバコは止めて」が23.0%(69人/300人)で最も多く、「お父さん私たちの健康のためにタバコは止めて」22.7%(68人/300人)が続きました。健康についての選択肢に回答が集中していることから、喫煙者の多くが喫煙が自分自身や家族の健康へ与える害を自覚し、禁煙の必要性を感じている様子がうかがえます。また、健康に次いで「お父さん応援するから禁煙がんばって」との回答も17.7%(53人/300人)と多く、娘の応援が禁煙を動機づけるきっかけになりえることも明らかになりました。
■娘が父親にタバコを止めてほしい理由は「健康」と「ニオイ」
父親に「タバコを吸ってほしくない」と回答した257人の娘にその理由を尋ねたところ、「お父さんがタバコを吸って体を悪くしてしまうことが心配だから」が64.6%(166人/257人)と最も高く、次いで「タバコのニオイが気になるから」51.8%(133人/257人)「お父さんのタバコの煙でまわりの家族が体を悪くしてしまうことが心配だから」35.0%(90人/257人)が続きました。理由として健康を挙げる回答者が多く、子どもであってもタバコの健康への影響について認識し、父親や家族の健康を心配していることが分かりました。
また、2番目に回答が多かった「タバコのニオイ」に関して、喫煙習慣のある父親の娘300人を対象に、「お父さんのニオイで最も気になるものはどれですか?」と質問したところ、「加齢臭」6.7%(20人/300人)、「口臭」6.0%(18人/300人)を抑え、「タバコのニオイ」が64.0%(192人/300人)と最も高い結果となりました。このことからも、娘は父親のタバコのニオイに対して敏感であることがよく分かります。
自分は吸っても、娘や娘の恋人には吸ってほしくない
■喫煙する父親のうち84.7%が自分の子どもに「タバコを吸ってほしくない」
タバコを吸う父親に対して、「自分の子どもが将来タバコを吸っても構いませんか?」と尋ねたところ、84.7%(254人/300人)が「吸ってほしくない」と回答しました。自身が禁煙に苦労しているからか、娘には吸ってほしくないという思いが強いことが分かります。
■娘の恋人の喫煙について、喫煙する父親の54.3%、喫煙しない父親の91.3%が「吸ってほしくない」と回答、自分が喫煙していても半数以上が「吸ってほしくない」
「将来、子どもが連れてくる恋人がタバコを吸っても構いませんか?」の質問に対して、「吸ってほしくない」と回答した人は、非喫煙者の父親で91.3%(274人/300人)、喫煙者の父親でも54.3%(163人/300人)に上りました。自分が喫煙しているにも関わらず、半数以上が吸ってほしくないと考えていることが分かりました。
今回の調査結果について
東京医科大学 総合診療科 准教授 平山 陽示 先生
「今回の調査では、家族への受動喫煙の影響が懸念されている家庭での喫煙の実態を調査しました。調査結果では、喫煙する父親の8割以上が自宅で喫煙しており、自分自身や家族の健康への影響を認識しながらもタバコを止められず、ベランダや台所で家族に配慮しながらタバコを吸っている実態が明らかになりました。
喫煙は心筋梗塞やCOPD(慢性閉塞性肺疾患)、がんなどの疾患の原因になります。さらに家庭内の喫煙は、喫煙者自身の健康を害するだけでなく、子どもたちにとっては、受動喫煙による肺炎、気管支炎、気管支喘息などの呼吸器疾患や、咳などの慢性呼吸器症状を引き起こします。しかし、今回の調査では、家族が周囲にいても喫煙すると回答した喫煙者は5割にも上っており、家族の健康への対策は十分になされていませんでした。
この様な結果となった一因として、タバコを吸う父親の約7割がニコチン依存症であったことが挙げられます。受動喫煙の害を理解しつつも禁煙できない状況がうかがえます。ニコチン依存症は病気であり、ニコチン依存症の喫煙者がより確実に禁煙を成功させるためには、できるだけ早く、適切な禁煙治療を受けることが効果的です。禁煙を希望するニコチン依存症の喫煙者は、2006年から保険適用で禁煙治療を受けられるようになっており、現在では禁煙治療を受けられる医療機関も増えてきました。今回の調査では、ニコチン依存症に該当する回答者のうち、保険適用の条件の1つであるブリンクマン指数による基準(1日の喫煙本数×喫煙年数が200以上)を9割の方が満たしており、喫煙者全体からすれば、約6割の方が保険適用の対象となっています。
私自身、娘がいますが、父親にとって娘の応援は非常に力になると思います。今回の調査でも娘に勧められれば禁煙を挑戦すると5割の喫煙者が回答しており、娘の役割は非常に大きいようです。また、喫煙者では日常生活の中に喫煙が組み込まれて習慣化しているため、禁煙のためには生活習慣の見直しが重要です。しかし、こうした習慣は自分では気づきにくいため、家族に指摘してもらったり、家族とタバコを吸いにくい環境づくりをしたりすることが禁煙成功への近道になります。6月20日は父の日です、これを機会に娘さんとタバコについて話し、禁煙のきっかけにしてもらえればいいと思います。」