ヤヱガキ醗酵技研株式会社は同社製品であるショウガ麹について骨代謝改善に対する新たな知見を得たので、公開しました。
ショウガ(生姜)は古来より漢方の原料などとしても用いられるほか、香辛料、薬味としても幅広く用いられてきました。またその辛味成分として知られるショウガポリフェノールは殺菌作用、抗酸化、血行促進などの機能性を持つ事が知られています。
同社では以前よりショウガを麹菌で発酵させたショウガ麹の機能性研究を行っており、ショウガそのものに比べ寒冷刺激時の体温維持時間の延伸や脂肪蓄積の抑制効果がより強い事、乳タンパクとの相乗効果などを実証してきました。
今回、東京農業大学応用生物科学部食品安全健康学科の上原万里子教授と高橋信之教授との共同研究により、加齢や炎症により起こる骨粗しょう症の培養細胞モデル実験でショウガ麹が抗炎症作用や破骨細胞への分化を抑制することを新たに発見し、特許出願致しました(特願 2021-101053)。
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■ 研究結果
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<実験概要>
マウスマクロファージ培養細胞 RAW264.7 は、常法により継代培養した後 RANKL(Receptor Activator of NF-κB Ligand)を添加することで、その受容体である RANK を介し転写因子 NFAT を活性化して破骨細胞への分化を起こすため、破骨細胞としても利用できます。そこで RANKL を RAW264.7 細胞に添加した後ショウガ麹抽出物を各濃度で添加し、NFAT の活性を評価しました。次に、実際に破骨細胞への分化が抑制されたか調べるため、分化マーカーである TRAPタンパク質が発現している細胞(TRAP 陽性細胞)数と TRAP 遺伝子の発現量をそれぞれ調べました。
<結果>
(1) NFAT 活性の抑制
ショウガ麹抽出物の濃度依存的に NFAT の活性が抑制され、破骨細胞への分化が抑えられることが示唆されました(図 1)。
(2) 破骨細胞分化マーカーの遺伝子発現量
TRAP(陽性細胞)数と TRAP 遺伝子の発現量は、ショウガ麹抽出物の添加濃度依存的に減少している事が確かめられました(図2)。同様に破骨細胞分化マーカーであるCathepsin K、DC-STAMP、OC-STAMP といった遺伝子の発現量も濃度依存的に減少している事が分かりました(データ未記載)。
<結論>
同社が製品化したショウガ麹はショウガの機能性をより高め、さらにショウガにはない機能性、つまり加齢や慢性的な炎症により起こる骨の老化(骨粗しょう症)を抑制する可能性が示され、超高齢社会における運動能の維持(ロコモティブシンドロームの予防・改善)に役立つことが示唆されました。今後はこの結果からモデル動物、ヒトでも同様の効果がある事を実証する研究を進めます。
【詳細は下記URLをご参照ください】
・ヤヱガキ醗酵技研株式会社 2021年8月【PDF】発表
・ヤヱガキ醗酵技研株式会社 公式サイト