平成24年6月14日(木)~15日(金)に神戸にて開催されました第16回腸内細菌学会において神戸大学との共同研究について発表を行いました。
【演題】
パイナップル果実由来グルコシルセラミドによる乾燥肌モデルマウスの皮膚改善効果と腸管上皮細胞を介したマクロファージに与える影響
【発表概要】
セラミドは、保湿など皮膚のバリア機能に重要な役割を果たしていることから、最近ではセラミドの経口摂取による皮膚機能改善が注目されている。本研究ではパイナップル果実より得られたグルコシルセラミド含有画分(パイナップルセラミド)を乾燥肌モデルマウスに経口投与し、皮膚機能に与える影響を検討した。その結果、パイナップルセラミドの摂取は経表皮水分蒸散量の上昇を有意に抑制した。同様に皮膚水分量の低下、シワの形成、皮膚組織における表皮の肥厚を抑制した。このことによりパイナップルセラミドの経口摂取は、保湿、皮膚バリア機能維持に有効であることが示唆された。そこで、パイナップルセラミドの経口摂取による作用発現メカニズムを解明するため、小腸上皮様細胞Caco-2細胞とマクロファージ様細胞RAW264.7細胞の共培養実験系を用いて検討した。その結果、 RAW264.7細胞におけるIL-23 mRNA発現量の増加が確認された。 IL-23によるTh17細胞の増加は、ある種のアレルギー皮膚炎の抑制に効果があると報告されている。このことから、パイナップルセラミドは皮膚の炎症抑制に有効であると推察された。したがって、パイナップルセラミドの経口摂取によるバリア機能改善は、乾燥肌により誘発される炎症反応の抑制によるものである可能性が考えられた。
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【演題】
タンナーゼ産生乳酸菌およびカテキン摂取における抗肥満効果の検証
【発表概要】
緑茶に含まれるカテキンは多くの効能を有しており、特に抗肥満効果が注目されている。しかし、没食子酸エステル型カテキン(EGCg)は、腸管からの吸収率が非没食子酸エステル型カテキン(EGC)に比べ非常に低い。そこで、没食子酸エステル型カテキンを非没食子酸型カテキンに変換する酵素(タンナーゼ)を用いて吸収率を高められないかと考え、漬物由来のタンナーゼ産生乳酸菌Lactobacillus plantarum22A-3株(Lp22A-3株)に着目した。肥満化させたマウスに、緑茶カテキンEGCg、EGCg+ Lp22A-3株、Lp22A-3株を投与したところ、EGCg+Lp22A-3株投与群のみ有意に内臓脂肪が減少することを確認した。対して、タンナーゼ非産生乳酸菌Lactobacillus brevis では効果が得られなかった。また、マウスの糞中からはタンナーゼ産生乳酸菌を分離し、生きて腸を通過したことを確認した。さらに、EGCg投与のマウス糞中からは高濃度にEGCgが検出されたが、EGCg+Lp22A-3株投与マウスの糞ではその量が著しく減少していた。この結果より、Lp22A-3株のはたらきで腸管内におけるカテキンの吸収率を高め、緑茶の抗肥満効果を向上させたと考えられる。タンナーゼを産生する乳酸菌Lp22A-3株は漬物由来で安全性も高く、植物ポリフェノールの機能性を向上させる新規プロバイオティクスとして利用可能であることが示唆された。
※リリースの詳細は関連資料をご参照ください。
【関連資料】
◎リリースURL/PDF
http://www.maruzenpcy.co.jp/news/120627.html
◎丸善製薬株式会社:公式サイト
http://www.maruzenpcy.co.jp/