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化粧品のぬり心地を数値で評価/東洋紡

東洋紡株式会社は、人によって感じ方の違う化粧品の「ぬり心地」を、精度の高い主観評価と機器評価を組み合わせ、数値で評価する方法を開発しました。本評価法を用いることで、あいまいだった「ぬり心地」を明確に示し、異なる化粧品の「ぬり心地」を数値で比較できるようになります。

1. ぬり心地の評価法と問題点
化粧品のぬり心地とは、肌に化粧品を塗っている最中、もしくは塗った後の肌に触れた時の感覚のことです。この感覚は人によって異なるため、正確な主観評価※1 をするためには、パネラー※2 の教育、感覚を表す用語の統一、評価時の条件の設定など、高度な専門技術が必要になります。加えて、正確に評価できても、主観評価では多くの化粧品を一度に評価することや、実験ごとのデータを比較することは困難です。そのため、測定機器を用いて化粧品の物性評価を行い、ぬり心地を数値化することが必要でした。
※1 主観評価…人の主観的判断に基づいた品質評価のこと
※2 パネラー…化粧品のぬり心地を主観評価する人

2. 本評価法の概要

同社は、ぬり心地を表現する用語を定義し、教育・訓練を受けたパネラーによる精度の高い主観評価法と、その主観評価の結果と強く相関する独自の機器評価法を開発しました。精度の高い主観評価法と、機器評価法の両方を有するのは同社の他に類を見ません。ぬり心地を数値化する際には、主観評価時のパネラーの感覚と化粧品をぬる動作を見極め、ぬり心地がどのような物理現象に起因しているのかを明らかにした上で、化粧品のどの物性を測定するのかを設定しました。

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3. 本評価法の具体例
本方法で評価できる化粧品のぬり心地は、塗布中の (1)とろみ感 (2)伸びの良さ感 (3)しっとり感 (4)さっぱり感、および乾燥後の(5)もっちり感 (6)浸透感 (7)しっとり感 (8)肌なじみ感 (9)べたつき感 (10)さっぱり感です。例えば乾燥後の「もっちり感」は「粘着感」と「残液感」の組み合わせで感じられることを把握し、「粘着感」は「剥離力」で、「残液感」は「化粧品の残存率」で表せることがわかりました。各化粧品について、横軸に「剥離力」を、縦軸に「化粧品の残存率」をとることで、特長を説明できる「ぬり心地マップ」を作成しました(右図)。また、「浸透感」「肌なじみ感」「さっぱり感」は、化粧品のぬり心地においては同じ感覚のことについて表現している、という結果も得られました。

4. 本評価法導入の利点
化粧品開発段階での本評価法の導入により、あいまいになりがちな感覚を表す用語を統一できるため、ぬり心地を正確に評価できます。例えば、同じ化粧品の乾燥後のぬり心地に関して、あるパネラーは「しっとり感がある」、別のパネラーは「もっちり感がある」と表現することがあります。これらの表現を統一することにより、機器評価の回数が減らせ、主観評価と正確に対応させられます。また、ぬり心地を数値で示すことで、違う化粧品のぬり心地を比較できます。実際に化粧品に触れなくても、「もっちり感」の数値が表示してあれば、今使っている化粧品と同じ「もっちり感」の化粧品を選ぶことができます。

5. 本評価法の展開
これまで、同社のアンチエイジング剤「ファイトポリアミン®」、天然保湿剤「セラメーラ®」、親水性保湿剤「アミノピジェール®」を使用した化粧品を含め、約60種類もの化粧品のぬり心地評価を行ってきました。今後も評価を進めていきます。また、化粧品の開発を支援するため、お客さまからの受託評価も承ります。

※詳細は下記URLをご参照下さい
◎東洋紡株式会社 2015年6月1日発表
http://www.toyobo.co.jp/news/2015/release_5601.html

◎東洋紡株式会社 公式サイト
http://www.toyobo.co.jp/

2015年06月03日 11:33

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